関門海峡とパナマ運河の地理的イメージ

日本海と瀬戸内海をつなぐ関門海峡は、本州と九州の間に位置しています。

日本列島において相対的な位置関係を見ると、本州は東及び北、九州は西及び南にあり、その二つを分け隔てる海峡なのですから、その海峡を挟んで本州が北東側、九州が南西側にあるようにイメージしてしまいます。

しかし、実際に行ったことがあったり、地図を見たことがあればそのイメージが間違っていることに気が付きます。

GoogleMapより

こちらにあるように、本州側の下関市の端は関門海峡を挟んで南西にまで伸び、一方、九州側の北九州市は関門海峡の北東にまで及んでいます。つまり、関門海峡の一地点においては、九州が東及び北にあり、本州は西及び南に位置しています。

こういう大雑把なイメージと、詳細な実際が異なる地理は気が付くと楽しいものです。

関門海峡よりもはるかに規模は大きくなりますが、パナマ運河も似ています。

太平洋と大西洋をつなぐパナマ運河は自然に出来たものではなく、10年近い年月を掛け、第一次世界大戦勃発直後に完成した大規模工事によるものでした。

北米大陸と南米大陸をつないでいるパナマ地峡を掘削し、東にある大西洋と西にある太平洋をつないだパナマ運河ですから、こちらもまた、大西洋側が東、太平洋側が西にあり、北米側が北にあって南米側が南にあると思いがちですが、関門海峡と同様に東西南北が逆となっています。

GoogleMapより

地図にある通り、パナマ運河は「西にある大西洋」から「東にある太平洋」をつなぎ、北米大陸は運河を挟んで南、南米大陸は北にあります。

南北アメリカ大陸の間にある中南米各国で、そのような場所がこのパナマ運河を掘削した場所にしかないことを考えると、関門海峡と同様に偶然にしても興味深いものです。

ちなみに、パナマ運河は昨年後半に記録的な干ばつの影響で船の行き来に必要な水不足に陥り、船舶通行量が制限されていたそうです。

中東のスエズ運河も最近はテロ組織による船舶攻撃により通行が困難となっていますが、両巨大運河が20世紀以降の製品・食料の運送に大きな役割を担っていたことを今さらながらに感じます。

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