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折り目に表示されるコンテンツ、広さを生かせないコンテンツ

折りたたみスマートフォンをSamsungやHUAWEI、Xiaomi、Motorolaといったメーカーがここ1,2年で出してきました。

日本のメーカーが高級路線・高性能路線のスマホを出すことすら出来なくなったのは残念ですが、コモディティ化しやすい商品に全力で取り組むよりも、SONYのイメージセンサーのような、欠かせない部品を供給する、B to Bの商売の方が安定するかも知れません。それはそれでもちろん大変ではあるんでしょうけれど。

iモードなどのガラケー全盛期はそもそも折りたたみ式が大半でした。ただ、それは画面とキーを分離するための折りたたみ機構であって、画面そのものを折りたたみできるようにしたわけでもなく、タッチ式でもなかったので必然性もありませんでした。

スマホを折りたたむ必然性にも疑問がないわけではありませんが、数年後にはこれがデフォルトになっていると時代が読めない恥ずかしい人扱いされかねないので、もしかしたら良いかもね?ということにしておきます。ただ、値段を考えると普及するとしても相当先な気がします。

ともかく、実際に画面を折りたたむことでの懸念点としては、発売前の時点でも
・折る部分の強度
・画面自体に折り目が見えてコンテンツ体験が邪魔される
といったものが挙げられていました。

多少の不具合はあれど、製品としては問題ないようです。有機ELディスプレイを採用するスマホが出てきたときにも、焼き付き問題が話題になっていましたが、実際の利用レベルではそこまで騒ぐものでもなかったのと似ていますね。

結局折り目の強度も可読性も問題ないということで、折りたためることで可搬性が上がり、また広げたときに大画面でコンテンツを没頭して楽しめるというメリットが実現しました。その代わり、値段と重さは解決出来ていませんが、これも時間の問題でしょう。

実際に折り目が目立たず、実用性が高いのであれば、スマホに限らずタブレットやパソコンでも利用が広がるでしょう。デジタルデバイスが紙と比べて不便だったのは、一度に大量の広さを利用しづらいことでした。メモをバーッと何枚も広げて見比べたりするのは紙の特権でした。そのアドバンテージが無くなります。

以前noteに書いたことがありますが、新聞のフォーマットはアナログな紙(まさに新聞紙)でもデジタルの配信でも変えていません。紙面そのものをデジタルな画面で見られるようになっています。記事単位でテキスト配信ももちろんありますが、紙の新聞があくまで大前提ですし、ビジネス的にもまだまだ主流です。

リアルな紙の新聞を完全に広げた状態で読むことはまずありません。まず2つ折りの状態が初期状態ですが、それでもまだ大きいです。その2つ折りはページの前提なので折り目に文字や写真が入ることはありませんが、さらにそこから折られて配達されているのに、その折り目に文字や写真がまず入ります。

一部の新聞は半分に折ったときにも読みやすくはなっていますが、さらに半分に折ったときにはもうダメです。確実に記事自体が途中で途切れたりします。写真も大事なはずなのに折り目に重なると体験レベルが低下するはずですが、新聞の記事のレイアウトは読者が折って読むことをあまり考慮されていません。重要性と分量を考慮しつつ最大限に詰め込めるように配置されます。紙は物理的に載せられる記事が限られている以上、仕方の無いことではあります。

デジタルデバイスがフォルダブルになって、物理的な広さの制限が取っ払われて広大な範囲の一覧性を手に入れられるとしたら、紙の優位性はますます低下していきます。

レイアウトの仕組みもいずれは紙が最優先ではなくなるでしょう。ただ、今のデジタルデバイスは縦横のアスペクト比がバラバラすぎます。テキストだけならリフロー型のコンテンツはどうとでもなるので気になりませんが、写真・動画はどうにもなりません。上下や左右に黒帯が出てしまい、デバイスの画面の広さのメリットがなくなります。

折りたたみ形式による画面拡大ではなく、もっと先の未来にはSF作品にあるような、自由自在にコンテンツ表示画面が広がるような時代が来るでしょうけれど、それまではアナログでもデジタルでもコンテンツに対する画面の有効利用の度合いが100%にはならないでしょうね。

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