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誰でも快適に動画配信を楽しめる時代はまだ遠い

コロナ禍により観客を詰め込むコンサート・ライブ・イベントなどが出来なくなり、その一方で対策としてそれらのネット配信が昨年から急増しました。有料のものも無料のものも、有観客のものも無観客のものもありますが、そのイベントでは演出上、紙吹雪とか小さな物体が大量に並んだり散りばめたりすると、デジタル動画配信の天敵となります。動画圧縮のアルゴリズムからすると、どうしてもそういう演出の動画を綺麗に映し出すのが苦手であり、ノイズとの戦いとなります。

もちろんこれは最近始まった戦いでもなく、現在、テレビだろうとインターネットだろうと動画を見るのは全てデジタル技術で成り立っています。ウェブ経由のストリーミング配信がデジタルなのは当然ですが、テレビもデジタル化したことでMPEG2フォーマットにて地上波も衛星放送もデジタルデータで送信されています。

アナログ放送からデジタル放送に切り替わった通常のテレビ番組でも、見ていると紙吹雪が出てきてノイズまみれになってしまうことがあります。デジタル放送は以前の規格(古いと言うほどではありませんが)で成り立っていて、かつ配信のためのビットレートが決まっています。サブチャンネルはぐっと下がるので画質が悪くなりますが、どのテレビで観てもビットレートは同じです。もちろん見ているテレビのサイズ、圧縮データの復号の技術に関するメーカーごとの差異によって、実際に見た場合に異なって見えることもあるでしょうけれど、SHARPのテレビと東芝のテレビで受信するデータ量(あるいはビットレート)が異なることはありません。

個人的には、紙吹雪演出はテレビでは止めてほしいと思うのですが、未だに普通に行われています。放送時にどのように映るかということも考えると無くした方が良いと思いますけれど、制作側からするとそういうものでもないのでしょうかね。

テレビ放送では条件が限られているので、画面を通して感じるイライラもせいぜいその程度ですが、ネット経由のストリーミング配信ですとビットレートが視聴者によって(通信環境・状態によって)異なります。デバイスも異なりますので、見る人の環境によってノイズや配信の快適さが異なります。

この辺はもっとどうにかならんものか、と思ってきましたがあまり変わりませんね。デジタルテレビ放送で採用されているMPEG2は、DVD-Videoへの採用で一気に普及しましたが30年も前の規格です。ネット経由での配信用に規格が決められたのがMPEG4で、現行のストリーミング技術はここから生まれています。

MPEG4にしても90年代の産物ですので、もっと抜本的にがっつり新しいテクノロジーが生まれて、少々通信状況が悪くても綺麗に見える規格が出来て欲しいものです。

あるいは、5Gや6G、また有線でのネット回線のさらなる高速化によって通信速度だけを強引に引っ張り上げて高いビットレートで配信してしまえば、ノイズもほぼ減らせるはずです。そんな超々高速配信規格とそれを苦も無く再生出来るデバイスが出来上がれば、こんな願いも不要になるでしょう。ただの力技ですが。

ネットの速度がどこで遅くなるか把握するのは難しいものです。画期的な配信技術が出来るか、超高速の通信技術とデバイスが一般に普及するかするまでは、配信を楽しみたい人が
・自分の使っているデバイス
・自宅のLANケーブル・Wi-Fiの速度
・自宅のルータの性能
・プロバイダのプラン
・回線種別
・プロバイダ・回線業者の混雑具合
・コンテンツ配信サーバと回線業者の間の通信速度
といった様々な原因によって思うような快適さを得られない配信でイライラしてしまう時代が続くのでしょうね。

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