解雇規制と派遣会社と移民

正社員などを解雇する要件が厳しすぎるということは昔から言われていまして、解雇規制を撤廃あるいは緩和することで、かえって雇用される人を増やすことが出来る、という主張もあります。

本当にそうなるのかどうか知りませんが、当分は解雇規制関係の法令などは変わらない気がします。現状、いざという時には首を切りたいけれど、雇用すると切れないという時に派遣会社から派遣社員を連れてきてもらっている企業も多いでしょう。

派遣であれば当初予定の契約期間満了でバイバイできます。その辺も以前よりは派遣先の義務も増やして、派遣切りが容易に起きないようにはしていますが、正規雇用の従業員と比べたらまだ差はあります。

つまり、人手が欲しいけれど雇ってもすぐに止めさせられないため、単価が高くても派遣会社を利用するのですから、直接雇用でもすぐに辞めさせられるのなら、派遣を利用する意味が無くなります。

解雇規制を撤廃・緩和して直接雇用が増えると、派遣会社の経営が傾きます。そうならないように労働者派遣業界もロビー活動するでしょうし、しているから現状維持されているのかも知れません。

また、企業が派遣会社に支払う派遣料金は消費税がオンされます。従業員に支払う給与には当然ですが消費税は加算されませんので、雇用する従業員を減らして派遣労働者に置き換えると、派遣会社の粗利に加えて消費税も掛かるのです。

人材派遣業の市場規模は2021年度で9兆2000億円だそうです。派遣先課税仕入れから控除されますので、この金額の消費税10%が国・地方自治体の取り分にそのままなるわけでもないのですが、現状の国の税収のうちで最も多いのは消費税であり、消費税が減るような解雇規制改革に乗り出すとは思えないですね。

ともかく、派遣は本来、特殊技能を持っている人を必要な時に必要な分だけ必要な会社で働くものだったはずですが、今や事務員や作業員、工員をいつでも切れるような形態で雇うためのものになってしまいました。

移民(外国人の日本への移住者)がかつての派遣のように特殊技能の持ち主から、一般の従業員に広がりつつあります。多分同じようになるでしょうね。その頃には日本の労働人口も大幅に減少していてやむを得ないと考えるのか、排斥運動が高まってどうしようもなくなるか、どちらでしょうか? もしかしたら少子化対策が奇跡的に大成功して人口構成が激変する未来もあるのかも知れませんが、どうですかね・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?