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「応援」は経済的利益と両立しない

応援するのはいいのですが、応援しつつお金を儲けるというのは至難の業です。

江藤農相 官民ファンド解散を表明 累積赤字92億円 解消困難
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/k10012222591000.html
江藤農林水産大臣は、92億円の累積赤字を抱えた官民ファンドについて、赤字の解消は難しいとして解散する方針を表明しました。損失は国民の負担になるおそれがあります。
農林水産業を支援するために、平成25年に国と民間が出資して設立された官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構」は、出資した企業の破綻など投資の失敗が重なって92億円の累積赤字を抱えました。

官民ファンドが赤字を出して解散すると、当然ながらその赤字は税金から負担せざるを得ません。これから責任追及や負担の問題がメディアに出てくるでしょうけれど、そもそもの問題点として特定の分野・企業や事業を支援することを目的としたファンド自体に無理があったのではないかと思います。

儲ける・利益を上げるためには応援するという考えではなく、ダメなときには容赦なく切り捨てないといけないですし、本当に優れた投資先であれば「支援」という考えは必要ありません。第一、官民ファンド以外からいくらでも投資してもらえるでしょう。

逆に応援・支援するというのは金銭的にリターンがあるとは限らないことを認識すべきです。

なんとかかんとかインデックスファンド、というのも最近多く見かけますが、これも同様な気がします。インデックスファンドの利点は、特定の銘柄にこだわらず市場全体を網羅していることのはずです。何かの制限を付けて投資先を絞ると言うことは、市場全体以外のリスクも抱え込むことになります。

インデックスファンドで損害が発生しても、そのファンドに投資している人だけが損するだけですが、官民ファンドの損害は最終的には国民全体が負担することになるのが問題ですね。官民ファンドが本気でも儲けを出すのであれば、投資先を「支援」というフィルターをかけずに探す必要がありますが、成り立ちから考えると難しそうです。

そもそも、応援する、という行為はこちらのリソースを相手に渡すことでもあります。

単に口だけで「頑張って」というくらいなら大したことはありませんが、本当に支援・応援しようとすればお金も時間もかかります。

例えば私はガンバ大阪のサポーターとして色々お金を使っています。グッズはほぼ買わないし、アウェイゲームはたまにしか行かないので、もっとお金や時間を使っている人はたくさんいますが、それでも
・ファンクラブ年会費
・シーズンパス代金
・ガンバプラス費用
は直接ガンバにお金が渡っています。それ以外にもDAZNの視聴費用やスタジアムまでの交通費も必要です。そして観戦している時間、その前後の移動時間も費やしています。

そういった費用や時間を相手に渡すことが「応援する」という行為には含まれています。

そういえば、ガンバの先々代の社長である金森喜久男氏がサポーターミーティングで、ヨーロッパにスタジアム視察のために訪れた時にそこで

「サッカークラブはファンに苦痛を売るビジネスだ」

と言われたと話していたことを思い出しました。いつのだったかな、とおもってガンバのHPのサポミ議事録を探すとありました。

2009年5月9日(土) 第3回サポーターミーティング
https://www2.gamba-osaka.net/supporter/meeting3.html
昨年、春、リバプールのローガンテイラーさんという教授が講演に来られて、プロサッカークラブはサポーターの方々に何を売っているのか?と聞かれました。クラブ関係者は、「幸せ」、「エキサイティングなゲーム」と答えていましたが、そうではないといった教授。教授は『苦痛』を売っているんだと説明されました。

「応援」することはめったに見返りが上回ることはありません。精神的な充足は得られることは多いですが、経済的リターンは応援ではまず生まれないでしょう。そもそも見返りを過剰に求めるのは「応援」とは言いませんよね。

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