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パンデミックのトリレンマ?

ジレンマは対立していて解決が容易でない2つの事項を意味します。これが3つになればトリレンマと言われます。ジレンマはほぼ一般名詞のように日常会話でも使用されるようになりましたが、トリレンマはまだまだ馴染みが浅い言葉です。有名なトリレンマは「国際金融のトリレンマ」というものがあります。

・国際間の自由な資本移動
・国家独自の金融政策
・為替相場の固定(安定)

この3つのうち2つを満たすと残り一つは実現出来ない、という理論です。日本で言えば、自由な資本移動(外国の株や債権などを買えますね)と金融政策(日本銀行による量的緩和など)は可能ですが、ドル円やユーロ円などは毎日相場が需給によって変動するので固定できません。

こういった、2つを満たすと残り1つが自動的に不可能になるトリレンマですが、今回のコロナ禍によるパンデミックに対してもトリレンマが成り立つのではないかと思って考えてみました。

・感染防止
・人権保護
・経済維持

のトリレンマというのが成立するでしょうか?

1,感染防止と人権保護を実施すると、経済を維持できない。
→感染防止を優先し、感染が疑われる人の権利も侵害しないのであれば、国全体の経済活動を止めるしかない。

2,感染防止と経済維持を選ぶと、人権保護出来ない。
→経済を維持しつつ、感染防止を行うには、感染が疑われる人を強制的かつ徹底的に調べて拘束するしかない。

3,人権保護と経済維持を選ぶと、感染防止できない。
→感染が疑われる人の権利を侵害せず、かつ経済活動も止めないままだと、感染を防止できない。

あまり綺麗な理論にはならないですね。3つ目のパターンは、アメリカ・ブラジルやスウェーデンも当てはまると思います。2つ目は中国・韓国・台湾・ベトナムあたりでしょうか。となると日本が1つ目になります。ただ、日本だけが経済が落ち込んでいるわけではなく、GDPの減少率は世界的に見て同じような動きをしています。

いっそのこと「財政維持」も加えてしまって、テトラレンマ(4つの対立事項)にした方が良いかもしれません。

・財政維持
・感染防止
・人権保護
・経済維持

1,財政維持、感染防止、人権保護を実施すると、経済を維持できない。
→財政維持のため個人や企業への補助を行わず、感染防止を優先し、感染が疑われる人の権利も侵害しないのであれば、国全体の経済活動を止めるしかない。

2,財政維持、感染防止、経済維持を実施すると、人権保護出来ない。
→財政維持のため個人や企業への補助を行わず、感染防止を優先し、経済活動も止めないままだと、感染が疑われる人を強制的かつ徹底的に調べて拘束するしかない。

3,財政維持、人権保護、経済維持を実施すると、感染防止できない。
→財政維持のため個人や企業への補助を行わず、感染が疑われる人の権利も認め、かつ経済活動も止めないままだと、感染を防止できない。

4,感染防止、人権保護、経済維持を実施すると、財政維持できない。
→感染防止を優先し、感染が疑われる人の権利も侵害せず、国全体の経済活動を止めないのであれば、財政を維持できない(=個人や企業への補助をばらまかないといけない)。

テトラレンマにしてもあまりすっきりしないですね。日本の場合は4つ目に該当するのは間違いないと思いますが。

いっそのこと5つに増やしてペンタレンマに・・・。

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