見出し画像

誰かが道を綺麗にしているということは自慢すべきでもないこと

日本の道はゴミなどが無くて綺麗だと言われますが、もちろん、諸外国と比べてあくまで比較的という話です。シンガポールのようにポイ捨てに厳しい処罰があるならともかく、モラルだけで成り立っているのは確かに誇って良いでしょう。

ただ、それがなんで成り立っているのかと考えると、あまり自慢する気にもなれません。

人が往来すれば自然とゴミは出てきます。もちろん、アスファルトから沸いて出てくるわけではなく、人が排出するからですが、捨てられたゴミ、出てきたゴミは日本でだけ自然と消え去るわけでもありません。

必ず誰かが路上のゴミを捨てているのです。

よくよく見れば、人通りがそれなりにある道ならたいていゴミはあります。それでも、ゴミで溢れかえるようなことは、多分日本国内だと無いでしょう。

必ず誰かが路上のゴミを片付けているのです。

ゴミを捨てる人がいるから道が綺麗になる、というのは別によく考えてみなくても当然のことですが、ゴミを捨てる人はそんなことを考えていないでしょうし、ゴミを片付ける人も片付けていることを喧伝するようなメンタリティは持っていません。

ゴミを捨てる人・ゴミを片付ける人の2種類の人がいるわけですが、

「日本の路上はゴミが無くて綺麗!」

と自慢げに言う人は、少なくともその2種類のどちらにも分類されないはずです。

自分がゴミを捨てていることを自覚していれば当然言えませんし、自分が片付ける側ならそんなに綺麗では無いことを知っています。

かくして、ゴミを捨てる人、ゴミを片付ける人、綺麗になった道を見る人という三者に分かれます。

綺麗になった道を見る人は、ゴミがあることやそのゴミを片付けられていることを自覚していないわけです。そこで想像して、実際に片付けている人のことに思いが至ればいいのですが、そっち方向ではなく、日本人はきれい好き!最高!という方向に行ってしまうのはちょっと残念なことです。

もちろん、比較的綺麗であることはおそらく間違いないでしょうし、ゴミを捨てる人を擁護するつもりもありません。ただ、何の苦労も手間も無しに、日本の道が綺麗なままであるわけではないということは、頭の片隅に入れておいた方がいいでしょう。他人の行動で自分が自慢するというのはあまり見栄えの良いものではありませんし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?