急いでも急ぐことは出来ない

個人的に、こういうことは日本だけの問題かと思っていましたが、イギリスでもこんな話があるそうです。

エスカレーターでは歩かない方がいい、絶対に
https://www.lifehacker.jp/2019/04/stop-walking-on-the-escalator.html

エスカレーターで歩かずに立っている人がもう片側を空けて、歩く人はその空いているところを通過する、という習慣がありますが、それによってエスカレーターの利用者全体では移動効率が悪くなるそうです。自分自身が早く移動するために結局全体が遅くなる、ということを認められるかどうか。直接突き詰められると後ろめたい気持ちになる人は結構いるのではないでしょうか。まあ、そもそもそんなに急いで行きたいのであれば、エスカレーターではなく階段を走っていけばいい、という話でもあるのですが。

「急がば回れ」を地で行くような実験結果でありますが、ラッシュ時に混雑する駅のエスカレーターでは切実な問題でもあると思います。

少し話は違いますが、自動車でもこんな話がありました。高速道路で車を飛ばしても車線変更を繰り返してひたすら前の車を追い抜いていっても、結局目的地に着くのは、ずっと同じ速度で走っている時とあまり差が無かった、という結果だったというニュースか何かを読んだことがあります。

ずっと一直線に他の人や他の車が無い状態なら、自分のスピードだけで到着までの時間を計算できますが、他の人や車や障害物があれば必ずそこがボトルネック、律速の理由となります。そのため、自分がどんなに飛ばしても大して早くならないという理屈です。

エスカレーターでも高速道路でも、自分一人しかいない状況というのはあまり無いでしょう。少しでも早く移動するために追い抜き追い越しを繰り返しても、結果的に対して早くならず、自分以外も含めた集団全体では移動効率が悪くなる、ということです。それであれば、みんなが了解した上で同一速度で動いた方が効率が良く、自分の疲労や社会全体のエネルギーのリソース消費も減るのですから良いことのはずです。

また、エスカレーターを使うときにみんな片側を空けて乗り込むため、機械に均等な荷重が掛からず故障の原因になる、という問題があります。故障やメンテナンスに費用や時間がかかると結局は利用者の負担に跳ね返ってきます。

そもそも、「そんなに急いでどこへ行く」という話でもあります。本当にそんなに急ぐ必要がありますか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?