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トランプ大統領が2期8年やった後には・・・?

予測に願望を交えるとロクなことになりません。これはあらゆる場面で応用できる真理だと個人的に勝手に思っていますが、アメリカのトランプ大統領に振り回されている人々(主にアメリカ人ですが)は、振り回される理由がそこにあると思います。

つまり、この3年の間、「いくらトランプでもそこまではやらないだろう、言わないだろう」という願望を、トランプの言動の予測に加えてしまってきたということです。

トランプは商売人(優れているかどうかはともかく)です。相手の思い通りに行動すると損をすると考えているはずで、相手の意表を突く、相手の裏をかく、相手の思い通りにならない言動をこれまでしてきました。だからこそ、常識をわきまえているという自負がある欧米のエリート連中はトランプに裏切られ続けたために非難し続けています。

しかし、そもそもの自分たちエリートが
「アメリカ合衆国大統領はこうあるべき」
という前提、言い換えれば思い込みがあるために、トランプの言動に意表を突かれるのです。

では、どうするか。こんなこと言うはずがない、するはずがない、ということを想定しておくべきです。日本人としては、それこそ日米貿易摩擦や在日米軍費用負担などどころではなく、日米安保の破棄や在日米軍撤退、巨額関税の設定なども想定しておくべきでしょう。朝鮮半島の問題が万が一、トランプ政権期間中に解決すれば次は在日米軍の整理を考えるはずです。貿易では米中貿易戦争の片がつけば、次は日米貿易戦争の始まりです。そこまで想定した上で、トランプとの付き合い方を考えていくべきです。アメリカに近付くか離れるかはその国の独自の情勢によるので、他国の行動を参考には出来ても真似するべきではありませんが、地政学的にも経済貿易関係的にも日米関係は、これまで通り解消ではなく同盟であるべきです。

「トランプ政権は早くてあと1年、長くてもあと5年で終わり」という考えがあると思います。多分ヨーロッパ諸国はそう考えているでしょうし、韓国や中国もトランプ後の大統領と上手くやっていくことを想定していると思いますが、果たしてそう簡単に行くでしょうか?
しかし、中東、朝鮮、中国などの問題を抱えながら致命的な失敗さえしなければ2期8年は全うできるでしょう。そして2期目の終わりが見えてくるところで、おそらく、良識あるアメリカ人にとっては想像したくない、

「なぜ私が3期目の大統領職に就いてはいけないのだ?」

という驚くような発言をするのではないかと密かに思っています。

「中国の習近平は任期制限を廃止した。ロシアのプーチンは大統領→首相→大統領という裏技を使って任期を事実上延ばした。日本の安倍も首相としては制限は無く、党総裁の任期は在任中に延ばした。ドイツのメルケルも十数年首相をやっている。なぜ偉大なアメリカ合衆国の大統領は2期8年しか出来ないのだ」

と言いだしたら、民主党はもちろん共和党のほとんどの人間が過去一番のトランプ批判を行うでしょう。

ちなみに第二次世界大戦中の大統領だったフランクリン・ルーズベルトが4期途中で亡くなりましたが、その時には実は大統領の2期までの制限は明文化されていませんでした。あくまで建国時からの慣習として存在していたルールで、アメリカの両岸で大戦争に突入していた非常事態ということもあって4期まで再選を果たしたという経緯があります。しかしその後、憲法が修正されて3期12年を務めることは出来なくなりました。

さて、このルーズベルトの例を持ち出して、トランプが「今はアメリカ合衆国の非常時だから私が3期目の大統領職に就くことも問題ない。他国のように任期制限を撤廃すれば良い」と主張し始めたらどうなるでしょうか? そしてそれにトランプ支持者が乗っかってきたらどうなるでしょうか?

人は動物とは違い、想像による恐怖に基づいて行動できます。まさかそんなことを、という想像をしておいても損はしないでしょう。

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