天国の藍

天国、あるいは無に帰ることを強く望むわたしたちは、いったい何に生かされているのだろうと。
明日の私が死を促す。延命治癒を施すのはどの私だろう。あのひとの残像を少しだけ涙に混ぜて、指先の温度だけを信じている。今ではもう、「蛍光灯の光」なんて言葉はあまり見ない。遡ることにばかり視線を使う私は、噛み合わない世界の一瞬一瞬と、いつもすれ違ってる。
いちばん大事な本音はリアルでつぶやかない。否定されるのが怖いから。虚像の私に人間関係を奪われることよりも、「私自身」を否定されるのがこわい。

感情に支配されている者と、理性の奴隷である者と。極端に二手にわかれるとすればどちらが堅実なのだろうか。浮ついた空気に騙されて幸福を感じられることは、負の感情に飲まれて訳もなく絶望することは。
別になにを持っているわけでも無いのに失うのが怖いという感覚にやられてる、いやすでに失っているものをまだ持っていると錯覚しているだけかもしれない。
自分に許されたい、自分自身を許してあげたい。世間なんてみたくない、自分で決めたい、たったひとつの宗教。

青が好きだった。深くて暗い、青が好き。例えば海の底。海王星のしましま。ラピスラズリの原石。
魔法なんてものに憧れたことはなかった。小さな頃から、サンタクロースは私の中のどこにもいなかった。
けれども現実は、私の目にきらきらと映っていた。歳を重ねるにつれて、なにか大事なことを覚えていくにつれて、きらきらが、しぼんでいって今はもうない。
きれいじゃなくてもうつくしく生きたい。それができるようになったとき私はきっと生活を愛せる。

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