24時間年中無休ジムのリーディングカンパニー【株式会社 Fast Fitness Japan】のビジネスモデル調査と人事課題推測
最終更新日:2021/4/5
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
⇒累計26億1900万円を調達
企業概要
事業概要
24時間年中無休のマシンジム特化型フィットネスジム「ANYTIME FITNESS(エニタイムフィットネス)」を運営している。「ANYTIME FITNESS」の利用者は月額で会員登録し、24時間365日初回登録した以外の全店舗で運動を楽しむことができる。各ロッカーの施錠はもちろん、独自システムによる入館履歴管理、約20台防犯カメラの設置など、セキュリティ設備も充実している。
直営店以外にフランチャイズ(以下、FC)による店舗展開を行っており、
FCに提供する各種サービスの対価として、ロイヤリティ収入を得ている。
ビジネスモデル図解
事業における強み
【利用者目線】
・24時間年中無休で営業しており、独自に開発した入館システムと警備会社と契約により夜間でも安全に利用できる。
・マシンジム特化と無人化により低価格でサービスが利用できる。
・日本中はもちろん世界中のエニタイムフィットネス店舗を追加料金なしで利用することができる。
→低価格でのサービス提供が可能となり、会員の9割が40代以下と若年層の需要を掘り起こし利用につなげることができている。
【FC店オーナーや経営サイド目線】
・マシンジム特化型で店舗に必要な床面積が比較的小規模であるため、オフィスビルなど様々な形態での出店が可能となる。
・ロイヤリティが定額・固定であるため、会員数の増加に応じて1店舗当たりの収益の比例的な増加が見込まれる。
・マシンジム特化と無人化を可能にすることで、初期投資・ランニングコストを抑え、損益分岐の低い店舗を実現することが可能となる。実際に、24時間フィットネスジム業界における店舗数シェアの約40%を占めており、ブランディング化に成功している。
市場規模
該当市場として、店舗型フィットネスクラブ市場を選定した。
【市場規模の推定】
フィットネス参加率が10%前後ある諸外国と比較して、日本のフィットネス参加率は4%程度と大きな成長余地があると考えられる。
健康意識の向上により市場規模は少しずつ拡大し、帝国データバンクによると事業者売上高ベースで2019年には7100億円に達している。新規参入も相次ぎ小規模のFCチェーンが成長したことに加え、そうした動きに刺激を受けた既存の大手事業者が既存施設をリノベーションしたり、新しい業態・サービスに取り組み、業績を伸ばしている。
各社業容拡大していたなかで新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年以降の市場規模は大幅な縮小傾向にあり、5000億円台にとどまる見通しである。
【市場全体のトレンド】
新型コロナウイルスの感染拡大により、営業時間短縮や休退会者の増加といった問題に見舞われており、新規会員の獲得も伸び悩み、平時の営業状態へ回復する目処が立っていない。
店舗型ではなくオンライン中心のサービスやアウトドア型の提案を行い、
新たな需要を探っている。
【ベンチマークとなる企業】
・総合型スポーツクラブ
コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンス
・24時間ジム
ジョイフィット、ワールド+ジム
・パーソナルトレーニングジム
RIZAP、リアルワークアウト、LiME、GYM FIELD
・女性特化型サーキットトレーニング
リボーンマイセルフ、FURDI、LAVA
・高齢者向けフィットネス
カーブス
マネタイズに関して
【事業全体の収益性に関して】
直営店からの会費収入とFC店からのロイヤリティ収入と商品売上高の合計
【キャッシュポイントの額と頻度】
会費収入とロイヤリティ収入と商品売上
【固定費】
広告宣伝費、人件費、設備費・維持費
【変動費】
労務費、外注費
経営層
取締役会長:大熊 章
代表取締役社長:不明 ※退職済み
取締役副社長 管理本部長:山口 博久
社外取締役:宮本 明男
社外取締役:松村 はるみ
取締役(監査等委員):高嶋 淳
社外取締役(監査等委員):中島 彰彦
社外取締役(監査等委員):田邊 るみ子
社外取締役(監査等委員):井村 牧
スキルマトリクス
取締役の透明性やリスクテイクは9名の役員でうまく分散されている。ただし、独立性の観点では、ファウンダーとの関係性が近い取締役の存在や、株主の存在が見受けられるため、彼らの実効性を担保出来る指標(コンピテンシー)があればなお良い。
また、同社の経営戦略としては、顧客層を広げて24時間フィットネスジム業界の店舗数シェアを現在の約40%から拡大することと想定されるが、その既存事業の収益を新たな事業への投資の必要性に迫れたとき、IT・技術に強い役員や若年層かつマーケティングに強い役員の存在が見受けられると面白い。
ミッション・ガイドライン
ミッション
「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」の実現
ガイドライン
「誇り」と「謙虚さ」を常に忘れない。
「変化」より「進化・深化」を考える。
「対価」ではなく「真価」を追求する。
「時代」を見つめ「次代」を創造する。
人事制度設計
【採用】
・新卒採用:有
・中途採用:無
・媒体 :自社HP
・採用職種: 不明
【等級・配置】
記載なし
【評価制度】
記載なし
【報酬】
・月例給構成:初任給
4年生大学卒 :209,500円(25時間の固定残業代込で251,000円)
短期大学・専門学校卒:198,000円(25時間の固定残業代込で237,000円)
【教育】
記載なし
【その他、福利厚生など】
・健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険有り
・福利厚生メニュー(宿泊施設、レジャー、グルメ、育児等)
・企業型確定拠出年金制度
・エニタイムフィットネスのジム利用
インターン生による考察
FCビジネスの性質を有しており、各FCから店舗毎に毎月一定額のロイヤリティ収入を得ることができる点で事業の安定はある程度担保されているが、事業の成長を目指すには店舗数の拡大による会員数の拡大が必要となってくる。
その場合に運営や出店場所の選択の質が低下することで、解約率の増加や企業イメージの低下による利益率の低下及び不採算店舗の増加による収益低下に陥る恐れがある。出店場所のマーケット分析や出店戦略の徹底が必要であると考える。
※この記事は弊社長期インターン生が分析、編集しました。
※スキルマトリックスの基準が違えばご連絡ください。
調査担当:SHI
さいごに
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【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。