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「不動産ビッグデータ✕Technology」をコンセプトとしたSaaS事業【株式会社マーキュリーリアルテックイノベーター】

最終更新日:2024/4/16

当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。


資金調達額の推移

株式上場による資金吸収額は7.8億円。
(その他は不明)

企業概要

設立日:1991年(平成3年) 5月
資本金:2億4,110万円
所在地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿2丁目6番1号

事業概要

不動産情報プラットフォーム事業を行なっており、「不動産ビッグデータ✕Technology」、いわゆる不動産テックを事業コンセプトとして様々なサービスを展開している。
また、市場は不動産マーケティングの単一セグメントであり、その中で「プラットフォーム事業」「デジタルマーケティング事業」の2つの事業とその他サービスを運営している。主な取引先は、不動産デベロッパー・マンション販売会社・建設会社・金融機関・広告代理店・シンクタンクなどである。

【プラットフォーム事業】
この事業では自社で独自に情報収集し、新築分譲マンションの物件概要などの不動産ビッグデータ活用したSaaS型マーケティングシステムRealnetの提供を行い、「サマリネット」「リアナビ」というサブスクリプション型のシステムの提供を行っている。

【デジタルマーケティング事業】
この事業では、マンション販売におけるマンション相場や人気物件の分析ノウハウを活用し、インターネット広告の運用やアクセス解析、Webサイト制作等を行っている。

【その他】
同社はその他に、システム開発や外壁塗装のリフォーム、そしてマンションオーナーに情報提供するサービスも行っている。

ビジネスモデル図解

事業における強み

同社は「サマリネットシリーズ」を中心に、約30年にわたり不動産業界向け情報サービスを展開してきた。1995年以降に分譲された約4万物件(住戸数約300万戸)もの大量の新築マンションデータを保有しており、情報収集力と分析能力に長けている。それに加え、独自のノウハウによって、高い正確性・網羅性のビッグデータを扱うことに強みを持っている。

市場規模

【業界規模】
不動産業界の規模は、業界動向SEARCH.COMによれば190業界中21位である。大きなシェアを占めているのは三井不動産、三菱地所、住友不動産などが挙げられる。

【市場の動向】
不動産市場規模は縮小傾向にある。
市場規模は2015年から拡大し続けていたが、2019年からは縮小している。コロナウイルスからの回復により、2021年に関しては売上高が増加している業種がある一方、不動産業界はそのような変化が無く厳しい状態が続いている。

財務省の「年次別法人企業統計調査」より。

【ベンチマークとなる企業】
グローバル・リンク・マネジメント
GA Technologies株式会社 など

マネタイズに関して

【業績推移】
売上高、経常利益ともに増加傾向にある。
2020年における売上高の減少はおそらく新型コロナウイルス感染拡大が原因だと考えられる。

【事業全体の収益性】
BtoB:マンションデベロッパー・マンション販売会社・広告代理店・不動産仲介事業者などが主なクライアント企業である。

【事業別の収益】
同社はプラットフォーム事業が主力事業である。
売上高で比較すると、プラットフォーム事業(64.8%)、デジタルマーケティング(24.7%)、リフォーム事業(4.9%)、その他(5.4%)の順で大きい。

【キャッシュポイントの額と頻度】
サマリネット・リアナビの顧客単価は約20万円で、データダウンロードサービスは5000円である。解約率は0.3%である。

【固定費】(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日)
労務費 59,772 (千円)

【変動費】(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日)
材料費 2,178(千円)
経費 446,355(千円)
当期製造費用 64,130(千円)

経営層

代表取締役社長:陣 隆浩

1986年4月 株式会社明和住販(現 株式会社明和)入社
1987年4月 株式会社オリエント住販入社
1992年3月 株式会社東京都市開発入社
1993年9月 株式会社アルファプランナー入社
1996年9月 株式会社デジタルウェア入社
2000年2月 株式会社エクス取締役就任
2003年3月 当社代表取締役就任(現任)
2014年1月 株式会社JINX代表取締役(現任)

取締役:大寺 利幸

1998年4月 株式会社デジタルウェア入社
1999年6月 株式会社ビジネスポートシステムズ入社
1999年10月 株式会社オフィス・キャスター(現 当社)入社
2008年9月 当社ソリューション事業本部副本部長
2009年9月 当社ソリューション本部長
2010年6月 当社執行役員ソリューション本部長就任
2011年8月 当社取締役ソリューション本部長就任
2021年3月 当社取締役事業推進本部長就任(現任)

取締役:河村 隆博

1992年4月 株式会社日本能率協会コンサルティング入社
1993年4月 株式会社セノン入社
1996年5月 株式会社ソフマップ入社
1997年8月 セブンデータシステムズ株式会社入社
1999年11月 株式会社アプリックス入社
2000年7月 高千穂電気株式会社(現 エレマテック株式会社)入社
2006年6月 株式会社ムゲンエステート入社
2009年3月 株式会社インフォセック入社
2015年2月 株式会社ムゲンエステート入社
2015年4月 株式会社ムゲンエステート管理本部部長
2019年1月 当社入社コーポレート本部長
2019年2月 当社執行役員コーポレート本部長就任
2019年5月 当社取締役コーポレート本部長兼管理部長就任(現任)

社外取締役:齊藤 悟志

2001年10月 中央青山監査法人入所
2004年4月 公認会計士登録
2007年7月 新日本有限責任監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)入所
2009年10月 内閣府行政刷新会議事務局入局
2011年7月 新日本有限責任監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)入所
2015年9月 齊藤悟志公認会計事務所代表(現任)
2017年9月 中小企業診断士登録
2018年5月 当社取締役就任(現任)
2019年11月 株式会社GYRO HOLDINGS監査役就任
2020年8月 株式会社ラストワンマイル経営企画室長就任(現任)
2021年11月 株式会社GYRO HOLDINGS執行役員就任(現任)

社外取締役:三木 聡(※2023年2月時点退任済み)

1995年4月 東京ゼネラル株式会社入社
1995年10月 日本パークホーム株式会社入社
1996年10月 株式会社ラック入社
1998年4月 有限会社ソフトワールド(現 株式会社ソフトワールド)設立 取締役副社長
2002年8月 有限会社フィックスターズ設立 代表取締役
2002年10 月株式会社フィックスターズへ組織変更 代表取締役社長CEO(現任)
2005年12月 サイテック株式会社取締役
2006年6月 株式会社マンガノベル(現 株式会社アルファクレアティオ)設立、代表取締役
2006年12月 同社取締役
2008年10月 Fixstars Solutions, Inc. CEO就任
2012年10月 Fixstars Solutions, Inc. Director就任(現任)
2015年6月 合同会社グリーンテック(現株式会社グリーンテック)設立 業務執行社員
2018年2月 株式会社FixstarsAutonomous Technologies代表取締役社長
2019年8月 株式会社スリーク(現株式会社Sider)代表取締役会長(現任)
2019年10月 株式会社Smart Opinion代表取締役会長(現任)
2019年10月 Sleeek,Inc. Director(現任)
2019年12月 株式会社Fixstars Autonomous Technologies取締役(現任)
2020年3月 オスカーテクノロジー株式会社代表取締役社長(現任)
2020年3月 株式会社ANES設立 代表取締役社長(現任)
2020年5月 当社取締役就任(現任)
2021年3月 株式会社GRCS取締役就任(現任)
2021年7月 一般社団法人長野イノベーションベース設立 代表理事就任(現任)

社外監査役:伊藤 修一

1989年4月 株式会社ポーラ化粧品入社
1992年7月 株式会社流通技術研究所入社
1997年2月 株式会社グローバル・コンサルティング・グループ設立 取締役就任
1998年6月 朝日アーサーアンダーセン株式会社(現:PwC コンサルティング合同会社)入社
2002年2月 株式会社サイバーブレインズ(現 楽天リサーチ株式会社)設立 代表取締役就任
2006年6月 メディカル・コミュニケーションズ株式会社設立 代表取締役会長就任
2006年10月 株式会社さきがけインベストメント・アンド・コンサルティング設立 代表取締役就任
2006年10月 メディカル・コミュニケーションズ株式会社設立 代表取締役就任
2009年7月 メタル・アンド・テクノロジー株式会社設立 代表取締役就任
2012年4月 株式会社サイバーテック社外取締役就任(現任)
2013年9月 当社監査役就任(現任)
2021年5月 メディカル・コミュニケーションズ株式会社取締役就任(現任)

社外監査役:呉田 将史

2007年12月 新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所
2010年8月 公認会計士開業登録
2016年7月 SMBC日興証券株式会社出向
2018年7月 EY新日本有限責任監査法人出向帰任
2019年3月 呉田公認会計士事務所開業(現任)
2020年7月 ESネクスト監査法人設立 代表パートナー就任(現任)
2021年5月 当社監査役就任(現任)

社外監査役:中澤 礼(※2023年2月時点退任済み)

1999年5月 株式会社リクルートコンピュータパブリッシング入社
2013年2月 遠西法律事務所入所(現任)
2013年2月 弁護士登録
2019年5月 当社監査役就任(現任)

スキルマトリクス

※スキルマトリクス図とは取締役の素養・経験及び取締役会におけるバランスを一覧表にまとめたものである。各社で開示されているガバナンス内容を元に僭越ながら推測させて頂いた。要求水準・選定定義に関しては企業により差が生じるため、ここではCGCで求められている水準・選定定義を元に設定した。

ビジョン

ビジョン
不動産ビッグデータ × Technology で不動産の未来は私たちが動かす。

同社は設立当初から30年に渡り新築マンションの戸別データを保持し、
そのビッグデータを不動産デベロッパーや不動産ポータルサイトへ提供してきた。
同社は強み、財産である「不動産ビッグデータ」の価値をさらに高めるため、AI等のテクノロジーを用いて不動産支援会社からビッグデータプラットフォーマーへの進化を目指している。

人事制度設計

【基本情報】
従業員   :69名
平均年齢  :39.2歳
平均年間給与:525万円
平均勤続年数:9.4年

【採用】
現在新卒・中途採用ともに実施していない。

【福利厚生】
・年次有給休暇
・リフレッシュ休暇
・育児・介護休業
・誕生日時間短縮勤務
・テレワーク補助
・慶弔休暇
・保養施設

インターン生による考察

まずスキルマトリクスに関しては、人事・労務やファイナンスの分野が欠けているのが目立った。また、平均勤続年数は9.4年と若干低いと思われる。採用に関しても現在は実施しておらず、人手不足なIT人材の確保はどうしているのか疑問である。
同社は経営指標をSaaS事業の解約率としており、その値は0.3%となっている。Zuora(米国のSaaSサブスクリプション支援サービス)によると、SaaSの平均解約率は22%と高めの値で、10%を切れば持続的な成長が見込めるという。その点で0.3%という数字は優秀であり、サブスクリプションがうまくいっており、サービスの評価が高い証であると考えられる。
クライアントは不動産業界であり、その市場自体の成長に期待はできないが、同社は不動産のDXを焦点にSaaSとしてサポートする事業であるため、同社の今後の事業成長は十分に見込めるだろう。

最後に

スタートアップ・ベンチャー企業に必要な人材マネジメントについてはこちら

弊社代表平康によるCGCとスキルマトリクスに関する記事はこちらから

ボード・スキルマトリクス分析によるこれからのエクセレントカンパニー要件調査結果はこちらから

【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。