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【二次創作】二次小説が「それっぽくなる」文体の選び方について

こんにちは。
今回は、「文体」についてのお話です。一口に「二次創作」といっても、書いているジャンルは皆さんバラバラですよね。それこそ、未来設定やSF、異世界、時代もの、青春もの、社会人もの……など、おたくの関わるジャンルは果てしなく広い。一方で、小説の場合、視覚で訴えることができる漫画に比べて「原作っぽい雰囲気」を読者に伝えにくいという難点があります。

皆さんも読者として二次創作に触れる中で、「なんとなく違和感があるな」とか「これ、本当にあの原作の二次創作なのかな」とモヤモヤした経験があるのではないでしょうか。これを解消するために努めるべきことが「原作の雰囲気に合った文体をつかう」ということです。読者に違和感なく二次創作を楽しんでもらえる、「原作の世界と地続きのような世界線」を描くために、文体に対する工夫はとても有効です。

「文体」については、一般的に体系化された分類や用語がないので、私個人の主観で書いていきます。では、「ジャンルと文体の相性」についてまとめていきますね!

【1】文芸風の文体

特徴:
・文章のルールを守って書く
・やや硬め
・基本的に三人称
・情景描写や感情描写が多め、直接表現より比喩を活用する
・レトリックを多用する
・少し華美なくらいでいい、文章を装飾するイメージ
・漢字多め

似合うジャンル:
歴史物、戦闘もの、サスペンス、重めのSF、重めの恋愛、大人向けジャンル

全体的にちょっと格調高めの雰囲気の文章です。なので、時代ものや戦闘ものなど緊張感のあるジャンルと相性が良いと思います。また、サスペンスなども緊張感、臨場感が求められるジャンルなので好相性です。主人公が大人同士の創作やSFや恋愛でも少し重めのテーマを扱ったものなどにも向いています。

【2】ライト文芸風

特徴:
・文章のルールを守って書く
・「文芸風」より軽め
・台詞が多め
・一人称との相性も良い
・レトリックはコテコテにならない程度、普段使う感じの日本語を重視
・あえて淡々とした雰囲気を出す
・読みにくくならない範囲で漢字を使う

似合うジャンル:
日常もの、現代もの(学生でも社会人でも)、主人公が若いジャンル、あまり重々しくないテーマを扱うジャンル

たぶん、読んでいて一番読みやすい文体です。一般文芸で売れている作品もこの書き方が多いです。文章のルールをきちんと守りつつライトで読みやすい文体なので、どんな作品にもよく合います。ただし、重々しい雰囲気がでにくいので、原作のテーマや二次創作で扱うテーマが重い内容である場合は、少し硬めに書いたほうが雰囲気が読者に伝わりやすいと思います。

【3】ラノベ風

特徴:
・文章のルールはそんなに守らなくていい
・雰囲気重視
・勢いが大事なので、文章を着飾ってモタモタさせない
・流行りの文体をおさえて書く
・一人称との相性ばつぐん!
・平易な文章で書く、情景や感情もあえて工夫せずストレートに書く
・一人称の場合、「地の文」と「台詞」の文体がズレないように注意
・漢字にするかどうかはキャラや原作に合わせる(知的キャラなら漢字、逆なら平仮名など)

向いているジャンル:
ギャグ、コメディ、ライトノベル風の異世界やゲーム、原作は重めでも二次創作としてギャグやコメディ展開になるもの

そもそもが「原作がラノベ」であればだいたい合います。一人称との相性もとても良く、逆に三人称で書くほうが難しいと思われます。一方で、「勢い」や「流行りの文体」など、他の文体にはない特徴をしっかりおさえて書かないと「なんかモタモタしてるな」「リズムが悪いな」と読者に感じさせてしまう難しさもあります。

【4】夢小説風

特徴:
・文章のルールはそんなに守らなくていい
・雰囲気重視
・勢いをつけすぎない、ふわっとした雰囲気になる工夫
・一人称との相性ばつぐん!
・平易な文章で書く、情景や感情もあえて工夫せずストレートに書く
・一人称の場合、「地の文」と「台詞」の文体がズレないように注意
・漢字にするかどうかはキャラや原作に合わせる(知的キャラなら漢字、逆なら平仮名など)

向いているジャンル:
恋愛もの!とにかく「恋愛」が主眼になるもの、夢小説

キャラ同士の恋愛感情や気持ちのやりとりを重視した作品に向いている文体です。ストーリーよりも「萌え」や「ときめき」重視、あるいは「台詞」や「キャラの気持ち」を重視した作品と好相性です。もちろん、夢小説との相性は抜群、ヒロインや相手キャラの目線に立って恋愛を描写するジャンルにぴったりです。

ラノベ風と夢小説風はどちらも一人称との相性がいい文体ですが、ラノベ風は「勢い」が大切なのに対して、夢小説風は「勢い」を抑えて書いていく必要があります。ラノベ風であればどんどん場面が展開していくようなシーンでも、夢小説風であればあえてゆっくり、詳細に描写するイメージです。
また、どちらの文体についても言えるのが、『一人称で書いた場合、「地の文」と「台詞」の文体がズレないように注意すること』です。主人公が絶対に言わない言葉や使わない単語を地の文に入れてしまわないように注意が必要です。「いかにも主人公が言いそう、使いそう!」というフレーズで地の文を書くことで、「萌え」や「ときめき」につなげることができるので、おさえておきたいポイントですね。

読者として二次創作を見たとき、「読みやすい」「没頭できる」と感じるポイントの一つが「原作っぽい雰囲気」だと思います。この「原作っぽい雰囲気」を出す上で大事になってくるのが、「文体」です。キャラの台詞以上に地の文のほうが量が多いわけですから、当然といえば当然ですね。
いろいろな文体を使いこなすには練習や勉強がどうしても必要ですが、「それっぽい雰囲気」が出せるとやっぱり嬉しいので頑張りたいところです。慣れてくると自然と「原作に合った文体」を選べるようになると思いますし、そこに「自分の個性」を加えることもできるようになるはず。

「まだまだ慣れないよ!」「どんな文体で書いていいのかわからない」「どんなジャンルでもにた雰囲気になってしまう」という初心者の方、もしよろしければ、本コラムを参考にしてみてくださいませ。楽しい二次創作ライフになりますように!

ありがとうございます。 好きを形に!たのしく同人活動!を目標にがんばります!