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初オペラ鑑賞に行ってきました。

こんにちは。
先日初めてオペラ鑑賞をしてきたので,そんなお話です。

クラシック音楽が好きで,シカゴに引っ越してきた後もシカゴシンフォニーのコンサートなどに行ったりしていましたが,オペラは何となく敷居が高い感じがして,これまで見たことはありませんでした。

3月16日(土)。
この日はセントパトリックデーの前日,シカゴのダウンタウンにある川,Chicago Riverが緑に染まる日でした。なのでふと思い立ち,シカゴのダウンタウンへ行ってきました。結構有名なイベントなので,ご存じの方も多いかも知れません。こんなやつです。

無事にChicago Riverが緑に染まるのを見届け,ランチに牛角で焼き肉を食べて帰路につきました。私はシカゴ郊外に住んでいて,Union Stationという駅から電車に乗ります。映画「アンタッチャブル」でベビーカーが落ちてくるあの駅です。この駅に向かっている途中に,オペラハウスを発見しました。
(いままで気づかなかったかよ・・・こんなでかい,見た目すんごい建物なのに・・・)

これは別の日に撮影しました。雨でした・・・。

冒頭に書いた通り,クラシックは好きで,シカゴシンフォニーのコンサートはちょくちょく見に行っていましたが,オペラは敷居が高い。
けれど興味本位で調べてみたら,シカゴのオペラ,「Lyric Opera(リリック・オペラ)は,米国でも結構有名な,由緒あるオペラらしい事が分かりました。詳しいことは省きますが,Wikiのこの一節で,なんとなく雰囲気が伝われば・・・。

Lyric Opera of Chicago、略称:Lyricリリック。アメリカには多数の「リリック・オペラ」が存在するが、通常「リリック」といえばこの団体を指す

Wikipediaのシカゴ・リリック・オペラの項より

果たして今何を上演しているのかを見てみると,「Aida(アイーダ)」。
私はオペラのことはさっぱり分かりません。「椿姫」と「Aida」のタイトル位は知っています,程度です。
見るべきはタイトルを知っていて,そして有名なもの。全くの素人が食指を伸ばすにはお誂え向き。2つしか知らないオペラの演目の一つが上演中とは,神の啓示だ・・・ということで,早速チケットを購入。まったく席が空いてない・・・。取れたのは,最上階の一番後ろ。

まず何をしたか。
IMSLPという著作権が切れた楽曲の楽譜をダウンロードできるサイトで,Aidaの楽譜を入手。
そしてApple Musicで「Aida」の音源を確保。
ここまで見ると「できる人」ですが,楽譜見ながら音源を聴いて・・・30分で寝ました。よく30分もったよ。自分を褒めたい。

これはまずい,ということで,次いでYoutube。
良い時代になりました。日本のオペラ歌手の方が,演目の紹介をされているチャンネルを発見。

これは本当に勉強になりました。ありがとうございます。
筋から登場人物から,見どころ,音楽的聴きどころまで丁寧に解説を頂きました。ホントにこれを見なかったら,多分当日ずっと寝てたと思います。先にいいますが,アイーダはイタリア語です(オペラって,全部イタリア語なの?よく知りません・・・)。こちらではステージ上に英語訳のテロップが出る形でした。
つまり,筋も登場人物も知らないと,英語を読むので精一杯になってしまいますが,とにかくこの解説が微い入り細に入りとても丁寧で,一度見ただけで,当日の英語字幕は「いまどのシーンなのか」を確認するだけの為に見れば済む,くらいまで理解が進みました。

さて,ではなぜオペラの敷居が高いのか?
単純です。何着ていって良いのか分からない・・・。多分歌舞伎を見たことがない人は,または寄席に行ったことがない人は,歌舞伎や寄席に行くには着物を着ないといけない,という先入観が有りませんか?それと一緒です。
タキシードとか,せめてスーツ着ないといけないのかな?,なんて思っていました。自慢じゃないですが,アメリカ生活7年目,スーツを着たのはVisaの面接の時の二回だけです。もうネクタイなんてしないなんて〜,なんて感じです。

4月4日(木)。
ということで当日です。色々と悩みましたが,幸い雨。雨だからジャンパーで仕方ないよね。一応中はYシャツにそれっぽいズボンです。


オペラハウスのロビーを二階から。

全然ジャンパーで問題なかったです。まぁTシャツ短パンは流石にね。でもYシャツ長ズボンで上着は適当,って人が多かったです。ネクタイしたり,ドレス着た人もいたけれど,カジュアルに楽しんでいこう,って感じで,歌舞伎や寄席と同じでした。ちなみに,シカゴシンフォニーのコンサートもこんな感じでOKです。過日NYのカーネギーホールで辻井伸行さんのコンサートを見ましたが,こちらもカジュアルで全然問題なし。確かにウイーンフィルのコンサートの様子とか見ても,まあ皆さん普通の出で立ちですもんね。

私の席は最上階の一番うしろ。

ギリギリ,オーケストラピットは見えますが,残念ながら指揮者やコンマス(コンミス)は見られないです。
途中休憩でちょっと下まで行って撮ってみました。

さて本編。1時間30分くらいの1部・2部,30分程度の休憩を挟んで3部・4部(クライマックス)。合計3時間です。
正直起きていられるか,自信なかったですが,とにかく,とにかく良かった。筋が全部わかっている,登場人物の整理もできてる,そして「ここの音楽がこういうのを表しています」というのもわかっている。だから通しで舞台を楽しめました。
二部に演奏される「凱旋行進曲」にワクワク。軍事機密を漏らし,軍人らしく言い訳をせず刑に服すラダメスの潔さに感服。アイーダとラダメスが死に向かいつつも一緒になれた喜びをユニゾンで歌う中,外でアムネリスがラダメスの冥福を祈り歌うラストに涙。全編を彩るヴェルディの音楽の美しさ。
素晴らしかった。言ってしまえば三角関係のこじれの話だけれど,愛と悲劇の物語として,直情過ぎる三者の人間模様に心が揺れました。

オペラは,なんとなくやっぱり敷居が高い気がするけれど,でも実際に体験してみると,歌舞伎や寄席と同じで,見たいな,と思った時にフラッと行ける大衆演芸なんだと思いました。
素敵な音楽,素敵な空間,オペラは癖になるかも,です。
それから,行く前はちゃんと予習しましょう。予習の有無で,どれだけ楽しめるか・・・いや・・・楽しめるか楽しめないか,ガラッと景色が変わります。
私は,木曜日の午後公演(いわゆるマチネーってやつですね)に行きました。有給取ってオペラ鑑賞なんて・・・ステキ過ぎる!!!

2024年4月6日記

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