しなやかさ_フレキシビリティ

これからの時代、"しなやかさ"が鍵だと思う

ネット社会になり、情報が溢れ、選択肢が一気に増えた現代。日々刻々と変化する時代において、心穏やかに生きている人と、不満を抱えながら生きている人。この違いは、その人が持つ”しなやかさ”にあるんじゃないかと思う。教育においても、ビジネス社会においてもそれは同じ。
どうして、未来において益々"しなやかさ"が必要になってくると考えるに至ったか、今日はまとめてみました。
 
"しなやかさ"がないと、しんどい

しなやかさとは、他人の価値観を受け入れる柔軟性のこと。自分の視点にとらわれず、相手の視点があることに気づき、受け入れることができれば、無駄なストレスから解放される。

自分の基準で上手くいっているうちは良い。
大抵生きている環境が狭いうちは、比較的同質化されている環境に身を置いている為、それでも生きていけることが多い。しかし、ひとたび外の環境に飛び出したり、社会に出てみると、生きてきた背景も環境も丸っきり違う人達との共存が求められる。
 
少し前にバズっていたこの記事も、
まさに環境を飛び出したときに見えてくる視点。
>「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55353
 
環境と人に"ズレ"が生じた時に人は違和感を感じ始めるのだけれど、その時に、「周りが間違っていて自分は正しいのだ」とか「こんなに自分は頑張っているのに、周りは全然評価してくれない」と自分の枠を作り始めるとまずい。
 
周囲に対して攻撃的になると、人がどんどん遠ざかっていく。周囲に対して卑屈になると、自分が心を閉ざし、孤立していく。いずれにしても、周囲との溝が広がる為、お互いに相手を受け入れたり理解したりしづらい状況が生じて、悪循環に陥ることになる。
 
職場でも、学校でも、コミュニティーでも、"しなやかさ"を持ち合わせていないと、新しい環境に溶け込む時に苦労する。
自分の思考や価値観で自分を縛ったり、自分を緊張状態にして苦しめてしまったり。
気づかないまま他者の行動を縛って、場や他者を硬直させてしまったり。
カピカピになってしまった御飯みたいに、
いったん固くなってしまうと、柔らかくするのは難しい。
 
他人は自分とは違う価値観の元で生きていることを理解し、互いに寄り添う気持ちがあればもっと楽に生きられるのに、と私は思う。 

違いを受け入れることは、決して簡単ではないけれど

理想論はあれど、斯く言う私自身も、
昔から"しなやかさ"がある人間では無かった。むしろ真逆のタイプだった。
 
割と、学校でも職場でも、自分なりの"正しさ"を主張しては
人とぶつかることも多かった。
 
私自身は、キャリアアドバイザーとして、
生きてきた世代も背景も全く違う人達の相談に乗るようになって、初めて、
自分なりの正論や正しさを主張することの愚かさに気付けるようになった。
 
新卒の頃、上司に度々怒られたことを今でもよく覚えている。
「このメールでは、お客様の心は動かないんですよ。相手の気持ちになって書き直して。」
正しいことを書いているつもりなのに…と考えているうちは、本当に、この作業が難しかった。対面ならまだしも、メールだけで真意を伝えようとした時に、ただ要件だけを伝えただけでは、相手に響く文章には到底なっていなかった。何度も何度も書き直しては上司のOKを貰えるまで加筆していたら、最初は全くどの方向に加筆すれば良いのか検討がつかず苦労していたけれど、「はっ!」と気づいた瞬間があった。
そのメールを受信したお客様の気持ちになった読み返してみると、正論をつきつけられて、むしろ嫌な気持ちになって、行動する気が失せてしまうような文章だった。
 
そこから少しずつ、私は"しなやかな"コミュニケーションを学んできたのだと思う。当時、根気よく頭の堅い私に付き合ってくれた上司には本当に感謝である。

盲点を体感してみる、立場逆転研修

時は流れて。最近の仕事で、上司と部下の関係性の修復に関わったことがある。私が間に入り、上司と部下を入れ替えてロープレをしてもらった。私は言わば"触媒"のような役割なので、あくまでファシリテーション役として入る。
  
やってみると、お互いに毎日同じ職場にいるはずなのに、気付きが山程出てくる。このロープレをすると、職場における上下関係は、思った以上に私たちの行動を無意識化で規定していることが分かってくる。上司には、その上にいる上司の存在があり、部下からは見えない存在からのプレッシャーが強いことがわかるかもしれない。部下にとっての上司の言葉は思った以上に重く、断りたくても断れない状態にあることに気づくかもしれない。
 
結果的に、上司も部下もお互いの視点からの景色が全く違うことを知り、
自分の感覚”だけ”が正しいという思い込みを外し、相手の感覚を受け入れることに慣れてくれば、コミュニケーションは円滑になり改善のきっかけを作ることが出来る。
 
この研修は、先に述べた自分自身の過去の体験がベースとなっているのですが、本当に実感を伴って体感しないことにはなかなか分からないし伝わらない領域なので、丁寧に丁寧に「盲点の体感」の輪を広げていくことが肝心。
  
いまいち、職場の雰囲気悪いなぁと感じているような人がいたら、是非試してみてほしい。 

しなやかに生きる人を増やしたい

しなやかに生きる人が増えれば、多様性を受け入れられる社会になる。
ダイバーシティとは、多様な人と関わることではなく、多様な人を受け入れられること。宗教の対立も根源は一緒。違う価値観を受け入れられないことに要因がある。いろんな存在、あり方、立場を、対立せずに受け入れられる人で溢れる世界が良い。
 
ある人がこんな発言をしていた。
"枠にとらわれないという枠にとらわれる。"
 
ダイバーシティの重要性が叫ばれる時、しばしばこうした現象にも出くわす。「枠は悪だ。枠を無くせばいいのだ。」と。でもちょっと違う。
この論調だと二項対立に縛られていて、多様性をアピールしているようでいて、自ら枠組みを作ろうとする人達を否定し、本当の意味でのダイバーシティに到達していない事には気づいていなかったりする。
こうした二項対立を超えて、枠を自ら作りがちな人も、枠を取っ払いがちな人も、存在するという事実をまず受け入れてみることがスタートライン。
どちらも、「どうしてその価値観になったのか」に対して互いにフラットに耳を傾けられた時、社会はちょっと優しくなる。そして、異なる世界の扉が開かれるようになる。それが"しなやかさ"の扉だと思う。

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