【実話シリーズ】差し引かれた現実

小説の元ネタを明かしていく恒例となりつつある記事です、、が、今回はちょっぴり危険性が高いので有料記事に致します。

『ヴィンダウス・エンジン』では、運動していないものが見えないという特殊な知覚効果に主人公が巻き込まれます。それこそがタイトルの由来でもあるヴィンダウス症候群という病気なのです。

この発想にも実は元ネタがありまして、それは僕自身のマジックマッシュルール摂取による幻覚体験です。ええと、一応お断りしておきますが、この体験当時、マッシュルームは、まだ合法で特殊な(?)園芸屋さんなどで普通に購入することができたのです。

現在はバッチリ違法です!善良な市民は手出し無用。今回の記事は反面教師的な感じで閲読してくださるようにお願いします。

この体験があまりにショッキングだったために僕の人生はレールはパッキシへし曲がることになります。

後に禁止されたと聞いた僕は「さもありなん」「むべなるかな」と深く頷いたものでした。おそらくある俳優がこれを摂取してイカれた行動をして問題になった頃だったと思います。過剰摂取気味だったとはいえ、あれヤバいです。

いわゆる幻覚というのは、あるはずのないものが見える、そんな印象でしょう。LSDを筆頭とするサイケデリックドラッグの体験談などを読みますと色とりどりの世界やヘンテコなイメージがあふれており、ワンダーランド的な楽しさを感じさせますね。

これを加算的幻覚。仮にプラスの幻覚と名付けます。残念ながら僕はこの手の幻覚を見ませんでした。港の遊園地が望める場所にワンボックスカーを止めて20代の僕たちはトリップしておりました。アホほど巨大なウーファーからいかにもなハウスミュージックが流れていたと思います。

いっしょに居たのは、二人の友人でひとりはI君でもうひとりはM君でした。M君は大手バイクメーカーのレース付きのメカニックとなり日米を行き来する愉しい未来が待っているのですが、この夜は、バッドトリップに落ちた僕を死なせないために尽力するハイパーレスキュー隊員でした。

僕が見たのは(見なかったのは??)現実に加わる幻覚ではなく、現実から差し引かれた幻覚でした。あるはずのものが消えてしまうのです。これをマイナスの幻覚としましょう。

僕たちの車の窓からは遊園地の観覧車が見えていたのですが、数回に一度窓を見やると観覧車が忽然と消えていることがありました。面白いことに僕の観覧車が消えているとき、仲間たちの観る観覧車もまた消えていました。

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