十三不塔

小説を書きます。お芝居を書きます。ラジオドラマも書きます。 小説を書くのが一番好きです…

十三不塔

小説を書きます。お芝居を書きます。ラジオドラマも書きます。 小説を書くのが一番好きです。SFを書きます。第八回ハヤカワSFコンテスト優秀賞。 『ヴィンダウス・エンジン』11月発刊予定。

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最近の記事

さなコン3「十三不塔賞番外編」

SF作家クラブが催しているちいさなSFコンテスト3の選考を仰せつかった私、十三不塔ですが、最終選考委員ということもあり、一次・二次の選考にはタッチしておりません。 が、チラホラと拝読した作品の中に選考に残らずとも、とてつもない輝きを放っているものがあります。最終選考のフェーズにおいても「十三不塔賞」となるものを選ぶわけですが、その他にも推しはあるぞ、ということでいくつか紹介させて頂きたいと思います。 猫の捕獲と倉庫業の関係性 Nekobanさん 宇宙のどこかの惑星の女子

    • 文フリ&SCI-FIRE&THE TANPENS

      ゲンロンSF講座から生まれた名門(!)同人誌SCI-FIREに短編を寄稿しました。文フリ東京で頒布されたので読んでね。 そのうち(すでに)通販も可能だとか。 テーマは、インフレーション/陰謀論ということで私は前者を選ぶことに。 『ドゥクパ・クンレー二世の華麗なる不始末』というタイトルです。 仏教✖アナルというコンセプトで短編を書きました。 バイク屋の友人にオートバイのマフラーを塞いでおくための器具を通称ケツ栓(バッツプラグ)と呼んでいると教わったことが着想の起点でした。たぶ

      • SMEECH‼

         枯木枕「となりあう呼吸」シェアードワールド企画への応募作品です。  ここに載せるにあたり若干修正を加えました。   ※       ※      ※      ※      ※  煙突が吠える。  天仰ぐ何万もの歯のない口。煤雲垂れこめた白い昼下がりには、ささやかな不幸が色濃さを増す。薬指を燃やしても見通しはよくならない。老人たちは独楽になった夢から戻らないし、少女たちの苔むした頬は遺影の中の祖母と見分けがつかない。手元の狂った刃が誰かの喉笛へ殺到するのはこんな曖昧な午

        • KaguyaBooksアンソロジー

          現在、クラウドファンディング進行中のKaguyaBooksのSFアンソロジー(仮)に参加させて頂くことになっています。 2回にわたるコンテストの受賞者・最終選考者そして公募な何名かの方が加わってバラエティー豊かな一冊になるでしょう。また「冬眠世代」がとっても素晴らしかった蜂本みささんの長編も刊行されるようでわたしもサイン入りのやつを先行予約してみた。すごく楽しみです。 ハヤカワで受賞して以来、宣伝がてらTwitterでぼちぼち活動するようになり、前の記事にも書いたゲンロン

        さなコン3「十三不塔賞番外編」

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        • お取り寄せ絶品記事
          1本
        • 季刊【創作】
          3本

        記事

          絶笑世界/5G/文フリ

          ゲンロン五期生による同人誌『5G』に寄稿させて頂いた拙作『絶笑世界』がおおむね好評で涙が出るほど嬉しい。 原稿用紙にして数十枚の短編だが、これを私は何か月も悪戦苦闘したうえでお蔵入りにしたのであった。この時期、わたしは迷走し、途方に暮れ、まるで自信を失ってしまっていた。 同人誌の話を頂いた時、新しい短編を書こうとしたのだったが、持ち前の貧乏性のせいかボツとなった『絶笑世界』をここでリサイクルできないかと思いついた。他所でボツとなったものを載せるのは、使えないゴミを押し付け

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          イグナシオ

             もつれあった髪と錆釘がある。それらは患者の腹からメスも使わずに摘出されたものだった。ほとんど血も出ない。釘は曲がっていたものの錆さえ落とせばヒヨドリの巣箱くらいなら作れそうだ。治療を終えた患者は治療台代わりのテーブルから乱暴に退けられる。病人が押しかけるため、この不衛生なあばら家はいつだってすし詰めなのだ。快癒した患者たちのなかには物質化した自分の病を土産に持ち帰る者もある。巣箱を作るのだろう。  イグナシオは、熱心なカトリック信徒で、柔術の師範でもあり、園芸家であり

          イグナシオ

          かぐやSFコンテスト2

          最終選考にまで残った「かぐやSFコンテスト2」ですが、受賞には至らず、拙作『スウィーティーパイ』はノータイトル無冠のまま幕を閉じました。とはいえ匿名での応募・投票・選考という流れはスリリングでとても楽しかったのでした。 せっかくなので最終候補、選外佳作、惜しくも落選してしまった作品に限らず、個人的に好きな作品について僭越ながら感想を述べたいと思います。 黄金中の恐怖最終候補10作中、最も好きな作品。端正な文体がともかく好みで、古典っぽさを感じた読者も多かったみたい。ここに

          かぐやSFコンテスト2

          飛白Ⅲ

           Ⅱ  憂き目だ。追放の憂き目に遭うおまえにはいくつかの選択肢がある。  ひとつ、アメリカ合衆国ミシガン州サギノー市。  ひとつ、ポルトガル共和国ベイラ・リトラル州レイリア市。  ひとつ、中国遼寧省丹東市。  二度と戻ることは許されない。三都のうちのどこかにおまえは流され、その場所で生涯を過ごすことになる。先住民の言葉で「流れ出る」を意味するサギノーは文字通り四つの川が流れ込む湾に面した都市であるし、白壁の街レイリアはリノ川のほとりにある。緑鴨江を挟んで北朝鮮を対岸に配した

          疾走する玉座

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          悪逆読書会1 ゲームと読書

          悪逆読書会という配信を始めたと前回記しました。そのおさらいと補足がてら、配信では深め切れなかった部分をここで突き詰めてみたいと思います。 配信で私がゲームにまつわるものとして紹介した本は以下の三冊です。 一つ目は宮内悠介さんの処女作品集ですね。大枠は動画で説明していますが、なにより完成度がすごいです。文章の無駄のなさと切れ味。さらには重厚さも兼ね備えており天才的。またロジカルな能力の高さは、文章のみならずモチーフとなっているゲームへの理解の深さも感じさせてくれます。遊戯で

          悪逆読書会1 ゲームと読書

          悪逆読書会

          緊急事態宣言。晴耕雨読。外が荒れてる時は本でも読もう。 ってことで昭和の残骸三人で「読書」「読むことに」に関する配信をスタートしました。場所はイトーモータースの軒下をお借りしてます。 一発目はSF回ということで撮ったのですが、いろいろトラブルがありましてテストの第0回ということにしまいて、今回が本番。 悪逆なんてトガった名前にしたのは、本を読むことって推奨されている割に本当にいいことなの??? という疑問に襲われたからです。 ニーチェとかマルクスとか読んで人生狂った

          悪逆読書会

          ノベリズム大賞

          ノベリズムというweb小説投稿サイトで応募していた小説2作が一次予選を通過しておりました。コミカライズを想定したコンテストであるため、大賞作品はマンガ化されるということです。 サイト上ではあまりPVや評価もないのですが、運営の選考委員は別の尺度でジャッジしてくれたということみたいです。なんとなく仕様やフォーマットがわからず放置していたノベリズムですが、もうちょっと本腰入れて触れてみてもいいかな。 じっさいフツーに使いやすいし、投げ銭制度などもあって面白みもあります。独自の

          ノベリズム大賞

          16日は天赦日+一粒万粒日です。物事を始めるのにうってつけの吉日ということで「悪逆読書会」という配信を友人たちと始めることになりました。毎回テーマを決めて読書にまつわるトークをしていきます。初回は「SF」で二回目は「フェティシズム」になる予定です。

          16日は天赦日+一粒万粒日です。物事を始めるのにうってつけの吉日ということで「悪逆読書会」という配信を友人たちと始めることになりました。毎回テーマを決めて読書にまつわるトークをしていきます。初回は「SF」で二回目は「フェティシズム」になる予定です。

          好きな日本人作家トップ10

          好きな海外作家ベスト10という記事を書いたが、やはり順位などつけがたいので、日本人作家については好きな人を漠然と10人並べてみようと思う。 町田康パンクロッカーという響きはダサさ極まりないから、わたしはパンクスと呼びたい。伝説的なバンド「INU」の人であるが、作家として手掛けた処女作「くっすん大黒」には痺れたものだ。ナイティナインのバンド作ろうぜという番組で歌詞の先生を担当していた。山塚アイと同じくヤバすぎるオーラを放っていた。作品は、やりきれない居たたまれないクズ野郎(ク

          好きな日本人作家トップ10

          あけましておめでとうございます! 今年も頑張ります。 もっともっと面白い小説書くぞ。

          あけましておめでとうございます! 今年も頑張ります。 もっともっと面白い小説書くぞ。

          協働する世界へ

           ――世界より広い庭で遊んで過ごした  次作の出版物の構想を練りながら、短編中編を書いています。  まだまだ未熟なので、どんどん練磨しなければいけない。小説にはいろんなスタイルがあって、なるべく多くの、そして深いスキルを身に着けたいのである。  以前、20代で一度商業デビューした時には、ある意味地力が伴っていなかったと思う。求められているものと自分の力量がマッチしていなかった。なにより致命的だったのは、そのことを自覚できなかったのだ。  いまなら、大丈夫、ということで

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