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RPA とは何なのか #3

 引き続き、RPA とは何なのかについてお話していきます。前回の記事はこちら

 前回は、RPA の導入をしようとすることで、代表的な3箇所で感情的分断が発生するということと、放っておくと組織が崩壊する引き金になりかねないというお話をしました。

 今回はそれを受けて、何に気をつけたら ― つまりは、感情的分断を起こさないために何に気をつけたら良いのかをお話していきます。

■ 「感情的」分断とは

 前回の記事で触れた感情的分断とは、組織で何かをやろうとしたときに必ず発生する「感情的な軋轢」のことです。

 これは、RPA 導入固有の問題ではありません。いつでも、どこでも、おそらくこの瞬間にも起こっているごくごく一般的なものです。

 それを何故わざわざ取り上げるのかと言うと、RPA 導入や推進においては、この分断の発生・拡散スピードが尋常じゃないくらい速いからです。

 さて、なぜそんな速度がでるのでしょうか。

■ プライドまたはレゾンデートル

 結論から言えば、「RPA を導入される側のプライドが直接刺激され、レゾンデートルを揺らがせるから」です。もう少しシンプルに言うと「自分の業務内容が丸裸にされた上で、"要不要"の評価を受けるから」です。

・ 人間がやるべきものではない軽度な業務と評価されるかもしれない
・ 期待される業務効率を示せていないと評価されるかもしれない
・ 自分が大事にしていた作業が軽視されるかもしれない
・ 自分がいらない人間だと思われるかもしれない
・ リストラ対象だから業務分析されているのではないか…?

 などなど、RPA が導入されるということはつまり、自分はもういらない労働者であり、それを詳らかにして突きつけられる日が違いのではないかと考えてしまうわけです。

 自分の業務だけならいざしらず、他の部署でも同じようにヒアリングが行われる ― これは大量解雇につながるに違いない、アイツも、俺も、なあ、そうだよなあ??

 と、このように。

「自分の業務が分析され、経営層に近い立場から"人間がやるほどではない(軽度な)作業"をやっていると断じられるかもしれないというインパクト」は、かなり大きいものです。

 どれくらい大きいかと言うと、判断された対象はその作業であるにも関わらず、あたかも社員である自分、あるいはチームと対する評価だと感じてしまうくらいです。

 その誤解を放置しておくとモチベーションは下がり、推進役に対しても攻撃的になったり、会社に対して愚痴をいいはじめたりします。

 また、経営層・推進役から見て自動化できると思った作業が、現場ではとんでもなく重要なものだった場合は最悪です。その誤解が「やっぱり現場をわかっていない!何が RPA だ!!」などと不信感を増幅させ、感情的分断が急速に拡大していく。そんなことも、同時多発的に起こりえます。

 自動化に抵抗し、分断を拡大させる人。自分のプライドを傷つけられ、攻撃的になる人。彼らは悪い社員でしょうか?必要のない、つまりは、レゾンデートル(存在意義)を持たない社員なのでしょうか。


 違いますよね。


 それぞれの立場の人間が、真に立ち向かわなければならない問題は、まさに、「ここ」なのです。ふわっと言うとマネジメントこそが大事です。ツールだ予算だ技術だは、ぶっちゃけていえば、あまり関係は、ないのです。

■ マネジメント

 先にも書いたとおり、感情的分断はいつでもどこでも起こりえます。なので、どのような会社であっても、それらを吸収するために各人が各人の立場からいろいろと対策をうち、対応を行っているというのが現状でしょう。

 ですが、RPA 導入においては、感情的分断を防ぐことをもっともっと強力に行うことが必要です。そんな事はわかってるしちゃんとやってるよ ― そう思った方もいらっしゃるでしょう。そうですね。では、具体的にはどのような、何に対するマネジメントをやって行きましょうか。作業進捗ですか?予算ですか?それともなにか別のもの?そうです。「感情的」分断なのですから、感情をこそマネジメントしなければなりません。経営層と推進役、推進役と現場、現場と経営層。立場は違いますが同じ人間ですもの。

■ 感情のマネジメント方法

 感情を、しかも他人の感情をマネジメントする ― 難しすぎて、私にはわかりません。そもそも業務の自動化、RPA にまつわる話については多少の知見はありますが、心理学に強いわけでも、感情の機微に強いわけでもありません。

 じゃあ諦めるのか…というと諦めやしません。ここからが本題です。感情をマネジメントするのはものすごく難しいので、感情の手前のものをマネジメントするしかありません。それは一体何なのか。

 次回はそのあたりをお話できればと思います。


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