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総務だからできるいちばん大事なこと

 本記事は SOU-MU部 Advent Calendar 2021 の記事としての投稿です。

 はじめましての方ははじめまして。お会いしたことのあるかたはこんにちは。ふらふらと申します。前回の SOU-MU Night で業務改善について喋ったオッサンです。

■ 総務のお仕事

 前述の LT でもお話させてもらったのですが、我々総務側だからこそできることっていっぱいあると思うのですよね。現場のみんなが頑張って、我々が下支えしたり牽引したりしながら、経営層を中心軸として会社組織が回っていく。よく言われるたとえですが、現場と総務は車の両輪のようなもの。どちらが欠けてもうまく回るわけがないのです。

 とはいえ…営業職が強い会社ではコストセンターだなどと揶揄されたり、製造現場が強い会社ではアイツら細かい文句ばっかり言いやがってなどと誤解されたりすることも多い職種"群"です。ちと悲しいのですが、それが現実でもあります。

 じゃあ、我々総務の仕事ってなんのためにあるんでしょうね。営業や現場を輝かせる裏で、雑用係だとか専門職でもなんでもないヤツら等と蔑まれるなんて理不尽の極み…

 なんて、私も思っていた時代がありました。

■ 総務にしかできないこと

 じゃあ、我々総務にしかできないことってなんでしょう。売上を上げることも、売るための商材を作ることも、たしかに我々はできません。でも、売る為の施設を手配したり、作るための材料のお金を支払ったり、売ったあとの入金管理というかけがえのない仕事があります。

 だってのに全く評価されないんですよねえ…

 と、いうお話をすると、経理と総務は別だろう、経理は簿記などの資格が必要な職だけど、総務は別にいらないっしょと言われるシーンも少なからずあったりします。

 じゃあ君たちが使う道具は誰が手配してるの?会社がいつもきれいなのは誰のおかげなの?車は誰が用意してると思ってんの?新しい法律に対応して手を打っているのはだれなの?スキルがいらねえ専門職??ねえ??じゃああなた総務に来てやってごらんなさい??などと詰めてやりたくなりますが…まあそこはそれ、我々もいい大人ですからね。

 管理とか間接とか言われる部門にしかできないことは結構いろいろあるんです。あるんですけど、そういう日常的で、当たり前のように用意されているものってなかなか認知されたり評価されたりってしないんですよね。かなしい。

 それをちょっとかっこよく言うと、つまり、我々は「日常を作る仕事」をやっているのだとも言えます。皆が日々過ごせるように、あれやこれやと準備し、なにか起ころうもんなら平穏を取り戻そうとすっ飛んでいく。

 そういう仕事が、どうも我々の業務のようです。

■ 戦略総務??

 滞りなく企業活動ができるように、日常を作る。それが我々のいちばんのお仕事なのでしょうか。総務の仕事の真髄ってなんだろう?と調べていくと「戦略総務」なんて言葉にぶちあたりました。定義としては以下のとおりです。

戦略総務とは、ルーチン化した業務を受動的におこなう従来の総務部門とは異なり、企業が抱えている課題を解決すべく、各種業務の効率化や社内の環境改善を「能動的」に提案し、企業の成長を継続的に支援していく総務部門の姿を指します。
 ― 引用元記事

 コロナによる急激なリモートワーク対応以来、こういう記事は増えたような気がします。守りではなく、攻めの総務が必要だよねといったお話ですね。「守る」は我々が今までやってきたような、会社の日常を守る仕事なのでしょう。じゃあ「攻め」っていうのはどういうことなのでしょう。

 ざっくりいうと、受動的に何かをやるのではなく、能動的に行うことが「攻め」と言われているようですね。うーん・・・・・・・・・??

 これじゃあまるで、いつものように理不尽に「お前ら能動的に動いてないじゃん」と言われてるような気もします。なんだよお、今度はコンサルからも背中から打たれるの??納得行かないなあというのが、正直な私の第一印象でした。

 とはいえ、「能動的に動けよ」と言うこと・言われることそのものは受け止めなければいけないのかな、と思います。もっともっと動いてよ提案してよと、今の総務は求められているということなのでしょう。

■ 非総務な職業群との比較 

 と、このように、内外から「働いてない」だの「特別なスキルいらない」だの、ケチョンケチョンに言われがちな我々ですが…慨嘆するだけでは何も前には進みません。

 つまり我々は、内外の要求レベルに達していないと思われているということですよね。ふーん…んじゃあ逆に、総務ではなく非総務、つまり、営業や現場はどうなんだっけ?と振り返ってみましょう。

 常に数値をキープしなければいけない営業はやっぱり、目の前のことや未来の戦略で頭がいっぱいです。行動もアピールもそれなりにしつづけたり、理不尽な要求を対処したり、お客様を笑顔にするというスペシャルなスキルで活躍するというのが彼らの本分です。

 現場は言うに及ばず。売上に直結するモノやサービスを作ってなんぼ。納期厳守のために、様々な工夫をしながら徹夜もいとわず働くなんてことも日常茶飯事です。納期の遅れは売上の遅れ。厳守じゃねえよ死守するんだよと言いながら働いていくれています。

 そう考えるとたしかに、我々はなんかちょっと、お気楽な職業のように感じます。お気楽というのは、外への責任の度合い的にという意味です。

 ではなぜ、そういう対外的責任が一段低い部門が会社の中に存在しているのでしょう。一体何を期待されてるのでしょうか。

 と考えてる途中でふっと、思い出しました。私が学生の頃に読んでいた本に、こんなセリフがあったことを。

僕ら研究者は、何も生産していない、無責任さだけが取り柄だからね。でも、百年、二百年さきのことを考えられるのは、僕らだけなんだよ。
 ― 森博嗣『すべてがFになる The Perfect Insider』より

 あ、これだわ ― そう思いました。

■ 5年、10年さきのことを考えられるのは、総務だけ

 私達総務は、直接売上に寄与していない、対外的責任のレイヤがひとつ低いのが取り柄なのです。だからこそ、5年、10年さきのことを考える事ができるのではないでしょうか。

 いやもちろん、中長期の経営計画を作るのは経営陣のお仕事ですよ。でも、その中に会社が伸びるため・生き残るため、あるいは日常の守護者としてもっとみんなが良くなるように提案立案ができるのは、他ならぬ我々です。我々の得意分野ですもの、そこは。

 たしかにこう、あんまり評価されない不遇職と、これまた内外から評価されがちな我々です。しかし、最近の異世界転生モノの流行りは不遇職が成り上がるというものばかり。盾の勇者だって不遇職鍛冶師も英雄になる時代(?)です…っとと、話がそれました。

 話を戻しますと、つまり、総務の真髄は「5年、10年さきのことを考えられる」という他職では実現が難しい能力にこそあるのではないかなと思うのです。

 そうなると、先に出てきた戦略総務という話も納得できます。そう、先のことを考えて能動的に動けるのは我々だけなんです。新しい技術を常に取り入れながら現状を分析し、提案立案実行する。そういうものに、我々はなっていけばいいんじゃないかしら。そうなるための力はどこに…あるんでしょう…

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 その力の源泉を、実は私ひとつ知ってます。ご紹介しましょう。SOU-MU 部というコミュニティです。

 ヒト一人の力なんて、たかが知れています。だからこそ、古来よりヒトは、他の力を利用したりされたりしながら生きのびてきたんです。

 それに倣って、同じような境遇の方たちの失敗や成功、愚痴も含めたいろいろな話を聞いて自分の中で咀嚼する機会を持つというのは、とても大事なんじゃないかなと私は思っています。

 我々は未来を作ることができる。

 その未来を、いろんな総務の人たちと共有しながらもがいてみませんか?そうすれば、総務という職種群はもっともっとエキサイティングな職業になるはずです。

 ちょうど年の瀬。来年からを楽しくするためにも、一緒に未来を作ったり作られたりしていきましょうよ…というお誘いをして、この長文を締めたいと思います。お読みいただきありがとうございました。

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 明日は、請求書の鬼であり飯テロクイーンであり睡眠評論家(?)のあらいさんの記事です。楽しみですね!


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