全員が当事者

今巷では「LGBTの人が増えれば足立区は滅びる」というおっかなびっくりな言葉が世間を賑わせていますね。どうしたらこんな言葉が出てきてしまうのかすごく驚きますし、興味深いと思います。ということで今回はこの話題に対して思ったこと、考えたことを話していきたいと思います。


みなさんは『性のグラデーション』という言葉を聞いたことはありますか。聞いたことがあってもあまりピンと来ない方、言葉自体聞いたことが無い方もいるのでないでしょうか。僭越ながらここで性のグラデーションに関して簡単に説明させていただきます。

性と一言に言っても性には様々な性があります。身体の性、心の性(性自認)、好きになる性(性的指向)、表現する性と大抵はこの4つの性で表されます。LGBTを例にしてざっくりと考えてみると、レズビアンは心の性は女性・好きになる性が女性、ゲイは心の性が男性・好きになる性が男性、バイセクシャルは好きになる性が男性女性どちらとも、トランスジェンダーは生まれた時の性と心の性が違う、という風になります。本当は画像をつけた方が分かりやすかったんですけど、画像作るのがめんどくさかったのでやめました。性のグラデーションって調べれば出てきます(小声)

また、この4つの性を完全に男!女!とキッパリ分けることに違和感感じる、分けられない、分けたくない人もいます。例えば、バイセクシャルだけど好きになるのは女性が7割で男性が3割、つまり、好きになる性が女性寄りであるという人です。性のグラデーションという言葉の通り、人によって性は少しずつ違い、その人の性はその人だけの性で100人いれば100通りのセクシャリティーがあります。つまり、LGBTとは単なる分類分けでしか無いのです。

だからと言って私はLGBTという枠組みを否定するつもりは毛頭無いです。LGBTの枠組みに自分を当てはめ、アイデンティティーとしていたりする人もいますし、自分に枠組みを当てはめることで安心する、自由になる人もいるからです。

マジョリティーであるヘテロセクシャル(つまりストレート)の方にとってLGBTの人達というのはどこか別の世界の人のことで他人事だと思っている人もいるのではないでしょうか。そんなことはありません。ヘテロセクシャルの人だってセクシャルマイノリティーと呼ばれる人達だって、同じ世界に生きているし、全員が性のグラデーションの参加者です。ヘテロセクシャルの人は体の性と性自認が同じで好きになる性が異性であるというだけです。

初めに話した「LGBTの人が増えれば足立区は滅びる」という発言はLGBTの人達と自分は違う所にいる、他人事であると思っているから出た発言では無いでしょうか。この発言は勿論、差別的で残酷な言葉だなと思います。しかし、差別をするつもりはなくても、差別をしていなくても、このように思っている方は少なからずいるのではないでしょうか。LGBTのことを理解しろ、気持ちを考えろとは言いませんし、わからなくてもいいです。ですが、ヘテロセクシャルの方もそうでもはない方も全ての人がそれぞれその人だけの性をもっていること、性のグラデーションに参加していることを自覚して欲しいと思います。全員が当事者です。