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【緊急事態宣言発令】もし社内で新型コロナ陽性反応が出た際の判明~社外への告知までの完璧マニュアルを作ってみた※半年の各社、国の見解まとめ

2021年1月7日、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県に緊急事態宣言が発令されました。
2020年4月の緊急事態宣言とは何が違うのか?新型コロナウイルス感染者が急増する中、もし自社の従業員に陽性者・濃厚接触者が出たらどう対応したらいいのか?悩まれている経営者の方、人事総務の方、日々働いているビジネスマンの方…沢山いらっしゃるかと思います。

今回はそんな方のために「これだけおさえておけばOK!」という内容をまとめてみました。

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前回の緊急事態宣言と今回の違い

2021年1月7日緊急事態宣言が発令され、8日から有効になります。今回は前回とちょっと違うようですが、生活様式や働き方にも大きく影響してきます。
ということで、まず今回は前回との違いを解説してみます。

こちらをご覧ください。

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これを見ていると、エリアが首都圏にのみ限定されていることと、全体的に前回よりもゆるいように見えますね。しかし飲食店については明示的に営業時間短縮の要請があるなど、飲食店に対して特化した宣言内容になっています。


社員にコロナ陽性反応が出た場合、あなたの会社はどう動く?

さて、2021年1月7日15時現在、東京都では一日の発生患者数が1600人に迫っており、過去最多の数字になっています。
首都圏においては感染のリスクが非常に大きく、誰が感染してもおかしくない状況になってきました。
そんな中、もしあなたの会社の社員がコロナ陽性者になってしまったら、もしくは濃厚接触者になってしまったらどうするべきなのか具体的に解説していきます。


従業員の感染が判明した!どうしたらいい?

まず、従業員は居住地を管轄する保健所の入院措置などの指示に従う必要があります。本人へは保健所からの指示に従うことを伝えましょう。もちろんですが本人は休業しなければならず、出社することはできません。本人には感染のリスクがなくなるまで休業してもらいましょう。
また、事業所の所在地を所管する保健所に連絡し、対応について指示を受けましょう。

経営陣に報告!
従業員のコロナ感染が判明した場合、速やかに経営陣に報告しましょう。会社によっては危機管理部門を備えるところがありますが、そういった部門と人事関連部門への報告をしましょう。

感染者本人の行動調査と濃厚接触者をリストアップ!
次は社内において濃厚接触者が居ないか調査し、特定作業を行います。
そもそも濃厚接触者の定義ですが、国立感染症県空所感染症疫学センターが発表している資料によると以下のように定義されています。

<濃厚接触者の定義>
「濃厚接触者」とは、感染者の感染の可能性がある期間(発症の2日前から入院または自宅等での療養の開始までの期間)に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。

●感染者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
●感染者の気道分泌液もしくは体液等のウイルスに直接触れた可能性が高い者
●マスクなど適切な感染防護無しに感染者を看護若しくは介護していた者
●その他:手で触れる距離(目安1メートル)で、必要な感染予防策なしで、感染者と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)

要は、発症の2日前から1メートル以内で15分以上接触した人、ということになると思います。この定義だとデスクの前後左右の人やミーティングルームで対面した人はオールアウトになりますね。


では、具体的にどのようにして濃厚接触者を特定する調査を行えばよいかですが、日付、場所、行った業務、密閉度、接触した人とその所属を入手できれば行動調査として成り立つと思います。

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この調査は可能であれば発症の14日前から行動を思い出してもらいたいところです。
しかしそこまで覚えていない場合でも、症状が出始めた日およびその直近2日間については細かく思い出してもらうように依頼しましょう。本人の身体的負荷や感染感染拡大のリスクを踏まえて電話や対面ではなく、メールでの報告が望ましいでしょう。この調査を行うにあたって、トラブルを避けるためにも本人に個人情報の取得や第三者提供の同意を得ておきましょう

この行動調査の結果にもとづいて、社内の濃厚接触者を特定する必要があります。
発症日当日および前2日間、発症者の周囲1メートル以内で15分以上の接触がある従業員を濃厚接触者の疑いがあるものとしてリストアップします。
保健所からも同様の調査を受ける可能性がありますが、その際も調査に協力して指示を受けるようにしましょう。

感染した従業員への対応は?

新型コロナウィルス感染の疑いがあるとして自宅待機をしていた従業員について正式に陽性であることが判明した場合は医師や管轄の保健所の指示にしたがって感染リスクがなくなるまで休業させることが必要です。感染が判明する前の発熱などの症状が現れた段階で本人を帰宅させて自宅待機させることが必要で、就労を控えてもらうようにしましょう。


感染した従業員が休業中の賃金はどうすればよい?

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なんと、従業員にコロナウイルスの陽性反応が出た場合は、休業手当を支払う必要がありません。

これは、企業にとって不可抗力による休業を余儀なくされている、という状態においての休業なので手当の支払い義務は発生しないということです。

その不可抗力とみなされる条件は、

●その原因が事業の外部より発生した事故であること
●事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

この2つが揃っていることが必要です。
コロナウイルスの陽性反応が出た上での休業は、感染法上に基づく都道府県知の指示による就業制限ということなので休業手当の支払い義務がないということですね。

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ただし、休業ではなく疾病手当金を得る、つまり社会保険や健康保険に加入していれば条件を満たせば、休業手当は得られないものの、疾病手当金は一定の条件で得られるようになっていますのでそちらで対応するのが必要だと思います。休業になった場合にどういった手当がでるかということを会社として対応を決めておいて働いている方と共有しておくことが先決かと思います。

濃厚接触者への対応について

先にお話した行動調査や保健所の調査によって濃厚接触者として確定した従業員は保健所より14日間の健康観察が求められます。
しかし、症状が出ていない場合は必ずしも自宅待機が必要というわけではないようです。ただし、無症状はいえ、周囲への感染拡大を防止する意味でも14日間の在宅勤務あるいは自宅待機をさせたほうが良いと思われます。どうしても出社しなければできない場合は十分に感染予防を徹底させたうえで出勤の可否を各々検討しましょう。

濃厚接触者への給与や手当について

本人に症状が出ていないものの、職場で感染予防のために休ませる場合は少なくとも休業手当(平均賃金の60%以上:労働基準法26条)を出す必要があります。
職場での濃厚接触だけではなく家族が感染したために濃厚接触者認定されることもあります。本人に症状が出ていないものの職場での感染拡大を防ぐために休ませる場合、同様に休業手当を支払う必要があります。
または、症状が出ていない場合で勤務が続けられそうな場合は完全在宅で業務をやっていくなど、本人と話し合って決めていく必要がありますね。

その他の従業員への対応

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新型コロナウイルスに感染した従業員が出たことは、社内での感染予防の徹底や感染拡大防止策の実施を速やかに行うことが必要です。
ただしこの段階では所属や当該の従業員が作業していたエリアを開示することはよいですが、誰が感染したという個人名は感染者に対する偏見や差別が起きないようするためにも公開しないようにしましょう。

濃厚接触者でない従業員を会社の自主判断によって休業、自宅待機させる場合は先に説明した不可抗力に該当しないので、労働基準法26条に基づいて休業手当を支払う義務があります。

新型コロナウイルス感染者が出た職場では、其処で勤務する従業員が感染が不安で出社できないと言う可能性があります。会社側が予防措置をしている状態で従業員への就労を求めている以上、それに従業員の事情で応じられないという場合は欠勤扱いとして給与の支払い義務はありません。

接触場所のクリーニングについて

感染者の行動調査から接触場所の洗い出しを行い、消毒を行いましょう。
感染者のデスクや作業場所、トイレや更衣室、食堂などの共用場所の消毒が必要です。特に ドアノブ、テーブル・椅子、スイッチ・ボタン(照明、電話・エレベーター)、蛇口、トイレのレバー・フタ…などの消毒をしましょう。

こういった消毒に関する情報は厚労省のHPでも公開されていますが、専門家に任せるのが手っ取り早いかと思います。


社外への告知はどうしたら?

感染者が発生したことについて適切なタイミングと内容で対外的に発表しなければ取引先に対する信用の低下や株価への影響が出かねません。社内で告知内容とタイミングを検討し、公表しましょう。また、告知義務があるわけではないので公表していない会社もあります。
公表していく場合は東京商工会議所が対応方法をまとめた資料を公開しています。公表文例がありますので参考にしてみてください。

ちなみに社外への告知時の注意ですが通常業務に戻る日程や感染者の復帰日については告知する必要はなさそうです。感染者の特定やそれによる差別や偏見を防ぐためですね。

感染者の職場復帰について

職場復帰の目安については、日本渡航医学会と日本産業衛生学会が発表している資料にこのようにあります。

●発症後(ないし診断確定後)に少なくても 10 日が経過している。
●解熱後に少なくとも 72 時間が経過しており(a)、発熱以外の症状が改善傾向である(b)。
(a)解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤を服用していない
(b)咳・倦怠感・呼吸苦などの症状(ただし味覚・嗅覚障害については遷延することがある)

上記の状態を目安に復帰のタイミングを社内で検討しましょう。
復帰時に陰性証明書や快癒証明書を出す必要はなく、厚労省のHPにおいても医療機関への負担となる資料の作成は控えましょうとあります。担当医や産業医などから復帰に関する助言を受けて無理のない職場復帰を行いましょう。

お役立ち情報
こちらの動画、記事で参考にさせていただいたリンクはすべてこちらに記載しておきますので、是非参考にしてください。

新型コロナウィルスの影響はまだまだ続いておりますが、この本動画、記事が皆様にお役に立つことを願っております。

<参考リンク>
● BUSINESS LAWYERS「社員・従業員が新型コロナに感染した際の労務対応チェックリスト - 初動から対外的発表まで」(2020年05月14日)
● 国立感染症研究所 感染症疫学センター「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」
● 厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
● ダイヤモンドオンライン「もし社員がコロナに感染したら「すぐに・絶対」やるべき2つの対応」(2020年6月8日)
● フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所「社員が濃厚接触者になった場合の対応」(2020年5月)● フェミナス産業医・労働衛生コンサルタント事務所「社員が濃厚接触者になった場合の対応」(2020年5月)
● ひめさゆり法律事務所「新型コロナウイルスをめぐる法律問題(第2回:給料・休業手当の支払)」(2020年4月3日)
● 東京商工会議所「職場で新型コロナウイルスの感染が疑われたら読むガイド」(2021年1月8日更新版)
● FNNプライムオンライン「緊急事態宣言発令へ イベント人数の上限厳格化など「移動の自粛」求める方針」(2021年1月6日)
● NHKニュース「7日緊急事態宣言 前回とどう違う?」(2021年1月5日)

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