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HPVを正しく知らNight Vol.2

 こんにちは。ハッチヘルスケア、インターン生の山口です!
今回は、10月29日に行われたウェブセミナー「HPVを正しく知らNight Vol.2」の内容をお届けします!

 このイベントは、学生団体 苗ぷろ。さまとの共催で行いました。イベントは三部に分かれ、第一部では、福井大学医学部産科婦人科知野先生による「HPVと子宮頸がんのお話」を、第二部ではHPVセルフチェック&Scanをご利用頂いた参加者のアンケート結果を共有し、第三部では、子宮頸がんの啓発を広めるために取り組めるべきことについて、皆で議論しました。

第1部 「HPVと子宮頸がんのお話」

・子宮頸がん罹患者の若年化

 第一部では、知野先生によるHPVについての講義が行われました。内容をダイジェストで振り返ります。

 子宮は赤ちゃんを育てる役割を果たしますが、その一部である子宮「頸部」は流産や早産を抑えるなど、妊娠維持のために大切な部分です。その子宮頸部にできるがんを、子宮頸がんと言います。

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 子宮頸がんは、いま、「若い世代がかかる病気」になっています。35年前は、70代の高齢の方に多い病気でしたが、今では20〜40代に増えているのです。この世代は、妊娠や出産、子育てを行う世代であり、子宮頸がん罹患者の若年化は、大きな課題となっています。また、妊娠前にこの病気を患えば、将来の選択肢を失う可能性もあります。

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(本イベントスライドより)

・子宮頸がん発症メカニズムと予防法

 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)であり、性交渉によって感染します。全女性の約80%が一生に一度感染するものであり、稀ではありません。100種類以上のサブタイプがあるHPVのうち、約14種類が、子宮頸がんの原因となるハイリスクタイプに分類されます。
 原因がわかっているため、予防ができるがんなのです!

 正常な細胞がいきなり、がんになるわけではありません。正常な細胞にウイルスが感染し、このウイルスによる感染が持続した場合、少しずつ変化を起こし、前がん病変へと変化していきます。多くの場合、ウイルスは自然に消え、前がん病変から感染細胞や正常細胞に戻ります。
  なお、子宮頸がんは、初期のがんになってもほとんど症状がありません。

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(本イベントスライドより)

 現在、市販されているHPVのワクチンは、サーバリックスとガーダシルの2タイプです。サーバリックスは16・18型の感染を予防し、ガーダシルは16・18型に加え、6・11型の感染も予防(尖形コンジローマ*の予防)します。これらのワクチンにより、6〜7割の子宮頸がんの原因となるウイルスの感染を予防することが可能です。
*ヒトパピローマウイルスを原因とする性感染症の1つ。

 検診では、問診・視診・細胞診を行います。異常がなければ、2年後の検診を推奨されます。異常が見つかった場合、精密検査の対象です。

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(本イベントスライドより)

 精密検査で異常があっても、即治療というわけではありません。前がん病変(異型上皮)で最も進行した状態であれば治療をし、それ以外は定期的な検診対象です。

 子宮頸がん検診は数分で終わります。定期的に検診を受けることで、安心して将来の妊娠に備えることができます。

 前がん病変で最も進行した状態とがんの初期状態の間の場合、子宮頸部円錐切除という手術を受けることになります。ただしここを切除すると、妊娠時に切迫流産、切迫早産、早産の可能性が出てきます。

 60%〜70%の子宮頸がん発症を予防するHPVワクチンと、前がん病変を早期発見する子宮頸がん検診の両方が、子宮頸がん予防としては重要です。

 ワクチン接種は高校1年生まで無料です。
 これまでに打たれていない方で高校1年生を過ぎたかたは、2年に1回の子宮頸がん検診に加えて、自費にはなりますがワクチンの接種を個人的には推奨します。ワクチン接種によって、45歳まではある一定確率でHPV感染の予防効果が見込まれています。

・自己採取HPV検査とは?

 子宮頸がん検診は細胞をとる検査のことですが、それとは異なり、自己採取HPV検査という、自分で採取したおりものにHPVが存在しているかどうかを検査する方法もあります。
 この検査による痛みは、ほとんど無いか、少ない場合が多いです。
 自己採取と医師採取のHPV検査に違いはなく、自己採取であっても、きちんとHPVの検査ができているという結果も出ています。

 若年層はHPV陽性者が多いですが、HPV検査陽性=がんではないことに注意をしてください。

第2部 HPVセルフチェックを使った感想

・HPVセルフチェック &Scanの流れ

 弊社では、学業や仕事が忙しく検診を受けづらい方に向け、自宅でできるHPVセルフチェックキット&Scanを提供しています。
 Webで申し込むと自宅にキットが届きます。自己採取して、郵送すると1週間後結果を閲覧できる流れです。
 これまでも、検査の満足度は約90%と高い評価を頂いており、安心安全なサービスとなります。また、病院検索や無料でできる医者との電話/チャット相談など、検査後のフォローアップもご用意しております。

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・事前アンケート集計結果

 本イベントでは、参加者の方々に、事前アンケートを行いました。その中から印象的だった結果を、いくつか紹介します。(注:有効回答数 約20件と小規模なためご参考までにご紹介致します)

・「子宮頸がんワクチンは打ったことがありますか?」という質問に対して、打ったことがないと答えた方が65%と、過半数を占めていました。
・「子宮頸がん検診(医師による細胞診)を受けたことがありますか?」という質問に対しては、一度も受けたことがないと回答した方が60%と、過半数を超えていました。
・「この検査キット(&Scan)を友人/知人に勧める可能性はどれくらいありますか?」という質問に対して、10段回評価中、最大である10の評価を57.1%の方から頂きました。

第3部「子宮頸がんについて皆で議論!」

 第三部では、学生団体苗プロの大島さんに進行役を務めていただき、参加者といくつかのトピックについてディスカッションしました。

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「義務教育の中で、性教育をどのように取り入れる?」という問いに対し、
・産婦人科と連携する
・性に関する相談ができる環境を充実させる
・学習指導要領には制限があるため、学校外でのイベントを充実させる
など、参加者から複数意見が挙げられました。

 また、苗プロ大島さんからは、性教育へ積極的な教師による性教育に関するイベント/講演開催が効果的なのではないかというご意見、福井大学知野先生からは、地道な教育が必要であり、学校教員に加え産婦人科医からも案内した方が効果的だと考えるというご意見を頂きました。

 「パートナーとHPVについて話す」のトピックでは、HPVについて話しづらいなどのパートナー間で気軽に扱える話題じゃないという意見が寄せられました。その一方、性感染症が怖いと話すと、一緒に検査に行ったとの経験も参加者から語られました。
 また、交際時にパートナー間でHPVについて話すことがマナー化して欲しいという意見もありました。

 「HPVワクチンの副作用のリスクについて(メディアの影響を含む)」というトピックに対しては、
・保護者がワクチンの副作用を心配している
・腕が3日間くらい腫れた
・自分がワクチンを3回打ったが、副作用の報道後の対象となった妹はワクチンを接種しなかった
などの声が寄せられました。

 知野先生からは、「HPVワクチン接種者に見られる失神といった症状はワクチンを打っていない同年代にも見られています。どんなワクチンにも副作用がありますが、実際にHPVワクチン接種者に重い症状が出ているので、私たちは真摯に向き合って診察していく必要があります。また、ワクチンを打って何らかの症状が見られた場合、早期に病院で診察を受けることが一番大切です。」といった内容のご意見を頂きました。

 苗プロ大島さんからは、副作用のリスクだけでなく子宮頸がんの危険性を含めた両方の情報を偏りなく伝えていく必要があるといったご意見を頂きました。

おわりに

 セミナーの終わりに知野先生は、子宮頸がん発症数ゼロは産婦人科医師だけでは達成できない課題であり、このゴール達成のためにみんなで子宮頸がんについて意見交換し合うことが大切であるという意見を述べてくださいました。

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