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創作に役立つ用語辞典「帝国」

"帝国"とはなんだろう。

ゲームやアニメみたいなエンタメでしか国の在り方に触れていないと、"帝国"はなんとなく悪役の国みたいな気がしてくる。いろいろな作品の作者同士が特に示し合わせたわけでもないのに、作中に"帝国"が出てくればたいていは悪役として描かれる。

"帝国"とは、平たく言えば他の国家や民族を飲み込んでいく国家のこと。戦争などによって他国を支配下に置き、領有する。結果的に広い地域を治めることになり、文化にも影響力を発揮することになる。

必然的に帝国の政治は好戦的なものとなり、また反乱を防ぐため国民に対しても支配的になる。逆に言えば、国民に対して大らかな帝国や、小さな帝国というのは存在しにくい。

社会や歴史の知識なしに創作を行なうと、うっかり「半島の先端に、誰にも知られていない小さな帝国があった……」なんてシナリオにしてしまうことがあるかもしれない。そういう設定がまったくありえないわけではないけれど、社会や歴史を知っている人は「奇抜な設定だ」と感じるだろう。そして、"小さな帝国"が存在している理由を早いうちに示せなければ「作者め、よくわかってないな」と思われるのは時間の問題だ。

"小さな帝国"なんてものを物語に出すべきではない、ということではない。普通ならありえないものを、存在させることは創作の醍醐味のひとつだ。

小さな帝国が存在する理由は、「かつては広大な領土を誇った帝国が今は半島に追いやられ、滅亡目前」といったものでもいいし、もっとファンタジックな世界観なら「異界に広大な領土を持っている」とか「本土は巨大な空中都市だが、ついに地上に侵攻した」といった壮大なものでもいい。

もっとも、日本人にとって"小さな帝国"はわりとおなじみの存在だ。日本の"天皇"は、英語でEmperor(=皇帝)と呼ばれる。かつて日本がアジアへの侵略戦争を行なったことを肯定し、美化するような人たちにとって、天皇の存続は"うってつけ"だ。

なおタイトル画像はリアルタイム戦略シミュレーションゲーム『Age of Empires Definitive Edition』のキャンペーンシナリオ"パックス ロマーナ"より。言わずもがな、このシナリオはローマ帝国を舞台としている。ゲームで歴史を学ぶことを勧めるわけではないが、きっかけとしては充分だ。

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