連載 人生、無刀捕 第四回「捨身と不動心」
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題字・初見良昭先生
虚実転換、変幻自在、行雲流水、奇想天外、千変万化、円転滑脱……。
発想法、考え方こそが、最大の武器と言われる武神館の初見良昭先生。そんな初見先生に、人生の切所を切る抜けるための、さまざまな知恵を授けていただくというのが、本連載の狙い。
ときに脱線、煙に巻かれたり、はぐらかされてしまうこともあるかもしれないが、それこそまさに、初見先生の口伝、心伝。
姿勢を正して、初見先生の幽玄の世界に足を踏み入れてみようではないか。
第四回「捨身と不動心」
お答え●初見良昭
取材・構成●藤田竜太
「初見流の“捨身”とは何ですか」
前回、「とっさのときほど無にならないと。無になって的をなくすことで、活路が開けてくる」と、説かれた初見先生。
常識が敵、常識が邪魔をする、常識が怖い……と、常識の危うさを強調される。
武道を通して身心自在の境地を目指していたはずなのに、形に囚われ、常識に囚われ、なかなか自由闊達に至れないのは何故なのか。
初見流の「捨身」への道について、手がかりを得られないか、お話を伺ってみた。
初見先生のお答え
武道をやるなら、形はきちっとやらないと。よく「型があるから型破り、型がなければ形無し」って言うでしょ。武神館でも、形稽古は重視しています。それをマスターしていく過程で、だんだん形がいらなくなっていき、やがて虚実転換になっていくように修行しないと。
何度も言うけど、形は大事。でも形に囚われて、形の域を脱することができないままという人が、日本の武道家には多いでしょ。
なぜかって?
それは実戦に遭遇していないからですよ。厳しくいえば、未熟者だからです。
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