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対談/北川貴英&山上亮 第二回「親子体育」をかんがえる

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 コ2にて「システマ随想」を連載されている北川貴英さん、整体ボディワーカーとして活躍をされている山上亮さんには、共通点があります。それは「子どものからだを育てる」活動をだいじに考えていること。北川さんは6年前からシステマの親子クラスを定期的に開講し、山上さんは整体的子育てをテーマに講座や執筆をされています。
 対談2回目の今回は、からだが共鳴し合って作る「場」について。場の空気に感応したという北川さんのシステマのルーツや、おろそかにするとケガ人が出ることもあるという場作りの大切さなど、互いの領域で感じる「場」について、語り合います。


北川貴英×山上亮 「親子体育」をかんがえる

第二回  「からだが作るのは「場」」

語り●北川貴英、山上亮

構成●阿久津若菜



場に共鳴するからだ


コ2編集部(以下、コ2) 前回のテーマ「いろいろなからだに会う」とは、もしかすると武術でいう「見稽古」に通ずるのかもしれません。実際にからだは動かさなくとも、坐して高段者のいい動きを見ることで、見る側のからだを養うという。たぶん少し前なら、合理的ではないとか、論理的に考えると大したことではないなどと、いわれたかもしれませんが。

 そういう見稽古するからだをどう養っていくのか、もしくはからだ周辺のモヤモヤしたものを受け入れるアンテナの幅・帯域を狭めないために、“何ができるか”。これは「親子体育」にも共通する大きな要素になるかもしれません。実際のところ、からだは何をしているのでしょうか?

北川 からだは「場」を作ります。人が何人か集まれば、からだが共鳴しあって場が生まれる。どうすればそれを好ましい状態に持っていけるかは、お互いのからだのあり方にかかっています。たとえばケンカの仲裁にしても、どういうからだでいるかが問われるのではないかと。

山上 ケンカの仲裁に入るのに、自分が巻き込まれてしまっていてはいけないですよね。ケンカをしている二人のからだと、同じようなからだで入っていくと、場を変えるどころか場に巻き込まれていっちゃいますからね。

北川 ですね。からだとからだは共鳴しますから。たとえ仲裁でも「やめろやめろ!」と喧嘩腰で突っ込んでいけばこじれさせてしまう可能性があります。また、ふだんのシステマのクラスでも、ちゃんと場に共鳴するいいからだであれば、経験を積んだ人が参加するだけで、その場のレベルが引き上げられたりするものです。

山上 そういう場というものについての考えは、システマの中で創始者のミカエル・リャブコ師は触れているのでしょうか。それとも北川さんなりに、システマを学びながら場を認識する感覚を広げていったものなのですか。

北川 断片的にはミカエルも言っていますし、私自身は強く実感しています。ミカエルと一緒に練習をすると、特に何を習ったかわからないのに、妙に動きがレベルアップすることがあるんです。それは場を通じて私のレベルが引き上げられてしまったからですね。だからミカエルはその辺のことを、意識していなくはないと思うのです。でもここに深く言及しようとすると、どうしても宗教的な色合いを帯びてきます。それを生理的に受け付けられない人も多くいますので、そうした人たちの気分を害さないためにも、あまり公言しないような印象を受けます。

 システマはドリルやメソッド、その哲学などが様々な方面で注目を浴びていますが、私がシステマに触れた時に、個人的にまず面白く感じられたのが、クラスで独特な「場」が形成されていたことです。なんともいえない解放感というか、自由ですべてを包み込んでしまうような独特の「場」が作られている。私がシステマに深入りするようになるのは、「この独特な場というか、空気のようなものはいったい何だろう?」と疑問を持ったからですね。これがなかったら続いてなかったと思います。あと奥さんのサポートと(笑)。

山上 システマのクラスには、今まで受けてきた他のクラスとはなにか違う雰囲気や、場があったのですか?

北川 ええ。自分が昔、野口晴胤さんについて整体を学んでいたせいか、そういう独特の場(空気)にちょっとだけ敏感なんです。で、その空気はどこからきているのだろうと思って、練習に参加しながら自分なりに探ってみたんです。どうやって探ったかというのは非常に感覚的なものなので、ちょっと言葉にしにくいんですが。まあとにかく探ってみたと。
 するとそれは「インストラクター自身が発しているのではなく、(おそらく無意識的に)彼がどこかから持ってきている」という仮説に至ったわけです。まだまだ当時は情報が少なかったですから、“システマがすごい”のか、“そのインストラクター個人の資質がすごい”のか、判然としない部分がありました。

 当時、私が通っていたシステマジャパンのインストラクターは、アンディ・セファイとスコット・マックイーンの二人でした(どちらも今はシンガポールに引っ越してしまったのですが)。二人とも非常に高い身体能力を持っているので、そのどちらなのか少しわかりにくかったのですよね。これは、ここでは大事な問題です。システマがどの程度の普遍性を備えているか、ということに関わってきますから。

 “インストラクター個人の資質がすごい”のであれば、私のようなセンスのかけらもない人間には先はありません。さっさとシステマに見切りをつける道を選んだ方がよいでしょう。ですがもし“システマがすごい”のであれば、自分にも可能性があります。センスのかけらもない人間を向上させるのが、優れたシステムだと思うからです。

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