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スパイは、長時間かけて秘密を探る仕事だ。しかし、その手法は、終わりを迎えようとしている。情報は無料で世界中に拡散しそれに反応した無数の才能からアイディアを集める方がずっと速く効率的だからだ。6月29日

スパイ学校の同級生の男二人が何やらゴミ箱の前で
ゴソゴソ話あっている。ちなみに二人は初心者のスパイ
(秘密諜報部員)である。もう一つ、ちなみに今回の使命は
大したことない。ある男性から
「妻が若い男と浮気してるようなので、証拠を見つけてほしい」
という依頼があった。簡単に言えば浮気調査である。
「なあ、派手なアクションで飛んだり跳ねたりの依頼は
来ないかなあ」
「まあ、聞けよ・・・
たとえば、会社で新しいシステムを作ろうかって
ことになって、クラウド上に作ってもらったら、
すごいのが偶然できて喜んだら、
システムの中に入れるソフトが
無料のゲームクリエーター向けだって。
おもわず、どうしてそんなソフトが無料なんだって
話を聞いたことないか」
「秋葉原なら買えるよ。レベルじゃなくて」
「俺の言いたいことは、そんなことじゃなくて、世界中に一刻も速く広めて
新しい才能に開発させて、その才能を高額フィーで買うほうが効率的だってこと。効果なハードよりも、目に見えないプログラムなどの
無料ソフトの方の値打ちが高い時代になってきたってこと」
「何が言いたいんだ・・・このゴミ箱くさいよ」
「俺たちの時代だってこと。目に見えない権利や商品が
増えれば増えるほど、俺たちの仕事は増えるはずだ・・・
クサイくらい我慢しろ。たとえば、007、
ジェームスボンドになりたくないか」
立ち上がり大きな声で
「なりたーい・・・」
「シー・・静かにしろ」
「こんなゴミ箱をあさってるのに、なれるわけないよな
ジェームスボンドなんかに・・それに、あれは映画だ。
ああ・・クサイよ・・このゴミ箱」
「スパイの基本は、ゴミ箱をあさることだよ」
「それはスパイ学校で耳にタコができるほど聞いたよ・・・」
「俺たちの偉大な先輩は、あの巨大企業を危機に
追い込んだ立て役者だったんだ」
「ほんとかよ?・・・ああ、ツライ」
新聞の切り抜きをポケットから出して
「いいか、読むぞ・・・G社最大のライバルであるW社は、
G社を探らせるためにスパイを雇っていたことを認めた・・・」
「うんうん・・・それで・・・」
「・・・・・ごみの中から機密書類を捜させていたのだ・・・」
「そんな大きな仕事でもゴミ箱なんだ・・・」
「だろう?だから、頑張ろうぜ」
「わかった。でも、ここからは何も出ないぞ・・」
「いや、諦めるのは早い・・・これだ」
一枚のスーパーマーケットのレシートに注目。
「ただのスーパーのレシートじゃないか」
「よく見ろ。アイスクリーム2つ。カップ麺2つ。
見ろ・・・ビール2缶・・・みんな2つだ。
どうだ・・・クサイと思わないか?」
「だから、さっきからクサイって」
「じゃなくて、一人でマンションに住んでいるはずの男が
2つずつ買うか?」
「買い置きかも」
「マイナス発想だなあ・・・」
「じゃあ、これはどうだ・・・」
「男の一人ぐらしで口紅・・・フフフ・・・これを研究室に持ち込んで
調べれば動かぬ証拠が見つかるだろう」
「分からないよ。ニューハーフかもしれないよ」
とまあ、こんな感じで、夢は大きいが、
いつまでも使命を全うできない二人だった。
 
         

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