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昔々のある日、そのNさんのお葬式があったのだが、黒い服を着た男の人が何百人も来ていた。すごい葬式だと思った。葬式饅頭を、もらいに来ていた子供の私はとても中に入れなかった。2月7日、


昔々のある日の話です。祖母の家を毎日訪ねる90歳のNさんという、背が低く腰が曲がったおばあちゃんがいました。

彼女は子供の頃の私には普通のおばあちゃんのように思われましたが、一度話を始めると止まらないという特徴がありました。

そして、小さな家で一人で生活していて、娘さんは滅多に訪ねてこないという寂しい人生を送られていたことが知られていました。

そんなNさんが、突然亡くなった日が訪れました。葬儀には、何百人もの人々が、彼女を悼んで来られていました。

小さな子供の私は、葬儀の饅頭をもらいに行ったのですが、人が多すぎて中には入れませんでした。
 
がっかりして家に帰った。そんな私に祖母が見せてくれたその日の新聞に彼女が大きく載っていたのです。 

彼女は、30年以上にわたってK大学の寮母を務めていたということが判明しました。財界やマスコミの大物も多く来られたということが新聞で知りました。

子供心には世の中には意外な大物がいるという思い出でした。

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