「ホリデイ」
死にかけの灰の先で
君の墓標の窪みをなぞる。
背中に触れるその指が消える日が
来るものだとは思っていなかった。
そんな頃の私。
私を呑気だと言ったね。
その先には何も無いと
知っていて
そう言ったのかい。
だったら君は悪い人だ。
夜の境界線が消える。
背後から見つめる熱が。
当然のように止む雨が。
分かり合えたはずの夏が。
私の朝を作っていたのだと
今になって知ってしまった。
墓標の窪みを灰で撫でた。
君の指先は思うよりずっと
優しかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?