「メニー」

卓上のフラスコに、
三億の記憶。

誰が蒔いた種かは知らない。
咲き誇る花を摘み続けるのは、
何に対する罰なのだろうか。
言い渡されたのは随分と昔のことで
思い出せない。

また、フラスコが私の元へ来る。
哀れ。
なんと哀れか。

権利は剥奪され、
価値は消え失せた。

もう君を買えるのも
私しかいない。
こんなに安く
売った気もないだろうに。

三億の記憶。
一纏めに手掴みにして、
一(または私)に還す。

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