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アートは「背景」でもっと楽しくなる!

アート・芸術は少しとっつきにくいものです。そもそも美しいなんて人それぞれだし、普段見る機会の少ない絵画から、自分の気に入ったものを見つけるなんてできません。描かれているものが違うことはわかっても、正直全部同じに見えると思います。

そんな人にお勧めしたいのが、アートの「背景」を知ることです。

ゴッホの「ひまわり」の背景

例えば、ゴッホは自分と気の合う人達と絵を描きたいと考え、仲間を募集しました。そこでやってきたのが、ゴーギャンです。そして、ゴーギャンを歓迎するために描いたのがあの有名な「ひまわり」なのです。

その後は、ゴーギャンと仲たがいして、ゴッホが自分の耳を切り落としてしまいます。期待していた仲間は集まらず、ゴッホはその後も一人で絵を描くことになるのです。

そう聞くと、今まで見ていた絵画がストーリーを帯びて、一層違ったものに見えてくると思います。黄色い鮮やかなひまわりは、仲間を歓迎するための表現であり、その後の仲たがいを考えると鮮やかな黄色は少し寂しくも感じます。ストーリーは絵画に対して、こういった違った視点を与えてくれるのです。

小説を絵画にする

160年前に「ラファエル前派」という流行が起きました。この時代では、物語の一節を絵画にすることで、物語を感じながら絵画を楽しめるようにした作品が人気になりました。別名「フレームの中の小説」とも呼ばれています。

(wikipedia「オフィーリア (絵画)」より)

例えば、上のジョン・エヴァレット・ミレイの描いた「オフィーリア」は、シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の一節を描いています。悲劇のヒロインが小川でおぼれて死ぬシーンを絵画にしたのです。

小説では説明のない部分まで詳細に描くことで、人々に強い印象を与えました。ハムレットが非常に人気の作品だったことも作品が注目を浴びた一つの理由ですが、それだけではありません。植物もメッセージ性の高いものを選び、死に関するシンボルを所々に置くことで、絵画にしかできないような情報の詰まった作品を作り上げたのです。

このように、ストーリーは人を惹きつけます。「美しい絵画」というのは、それだけでも価値があります。しかし背景を知れば、さらに一層輝きを増すのだと思います。今後、絵画を見る機会があったら、5分だけ下調べをしてみてはどうでしょう?

参考:美術ってなあに? スージー・ホッジ

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