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村上春樹の長編小説創作プロセスをまとめてみた(「とんかち仕事」を探る)

村上春樹『職業としての小説家』(新潮文庫)を本棚からたまたま手に取ってぱらぱらとめくっていた。
そしたら彼の長編小説を創作するさいのプロセスが気になったので、ざっくりと抜き出してみた。なにかアウトプットする際に、参考になるだろう。

彼はとにかく、書き直しを繰り返す。それを「とんかち仕事」と言っている。一筆書きをして、それからとんかち仕事へはいる。
創作プロセスは次の通り。村上さんはがんがん推敲するのである。

1.これから書き出す小説をどういう長さのフォームとするかを決める。長編か短編かショートショートか等。
2.「小説を書くほかには何も書かない」こととする。
3.一日のノルマ枚数を決める。村上さんの場合には10枚(4000文字)として、それ以上でもそれ以下にもしない。

4.第一稿を書き上げると、1週間程度寝かせる。寝かせるというのは、その原稿に対して何もしないこと。
5.第1回目の推敲。アタマからゴリゴリと書き直す。かなり大きく手を入れる。この作業に1~2ヶ月。

6.第二稿を書き上げると、また1週間程度寝かせる。
7.第2回目の推敲。今度は丁寧に書き直す。細部に目をやる。

8.また一服(期間としてはこれも1週間程度かと思われる)。
9.第3回目の推敲。前の2回と比べると、「修正」というイメージ。

10.1~2ヶ月程度の長い休みをとる。
11.第三者(村上さんの場合には奥様)に読んでもらい、意見を聞く。
12.意見を汲み取って、第4回目の推敲にはいる。
13.再度、第三者へ読んでもらう。これを数回繰り返す。

14.形になったと判断したところで、編集者に読んでもらう。
15.ゲラを出校してもらい、何度も推敲する。

ひとつの短編小説を書いて、それをじっくりと読み直し、コンマをいくつか取り去り、それからもう一度読み直して、前と同じ場所にまたコンマを置くとき、その短編小説が完成したことを私は知るのだ。(by レイモンド・カーヴァー)

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