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ロスト・フライト

2023/12/7

ほめです。
不要な設定や展開に気を取られることもなく、話のスケールが大きくなりすぎることもなく、
ただひたすら、ちょうど良い具合だったなという印象でした。
こういったジャンルにありがちな仲間内でのイザコザや、恋愛要素でのトラブル等は廃しており、
純粋に航空パニックと脱出兼人質救出アクションの二本立てに舵を振り切っています。
丁寧な描写がある一方で、簡略化されすぎているシーンとの差異は目立つものの、
その分本作がやりたいこと、見せたい場面の意図がはっきりしており、全編通して退屈に感じることがありませんでした。
とくに航空パニックとしての展開が秀逸であり、
不時着するまでの流れと時間の進み具合がわかりやすく、
決め台詞とも言える「一つ一つ着実に」を体現している機長の冷静な様は頼もしいかぎり。
機内での乗務員同士の自己紹介、乗客の提示、離陸からのトラブル、そして不時着と、
息もつかせぬそれでいてコンパクトにまとめられた良いシークエンスとなっています。
下手に間延びされた悲喜こもごもや伏線を張ったりを盛り込むより、
シンプルながら矢継ぎ早に話が進むことで、
鑑賞側のテンションが維持されると鑑賞後の満足度が高いですから、
そういった観点からも気軽にオススメしやすいですね。

なお、不時着が2回もあるという天丼方式も、
PLANEとタイトルになるだけのことはあり、
もはや使い捨てと思っていた飛行機という舞台装置をその後再利用することに感嘆しました。
誰もいない飛行機内で一人泣く機長から通路のショット、
また上空からの全容を収めたショットは、
まさにもう一人の主役と言わんばかり。
いやこの旅客機相当がんばったよなと。

ナイフってあれだけこれ見よがしだったのに、活かさなかったのは不思議。

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