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恋するプリテンダー

2024/5/23

ほめです。
正直、これほどまでに多幸感に満ちたエンディングを迎えるとは。
全く予想していませんでした。
NG集でもなく、物語の締めくくりとして、各シーンのコラージュのような演出。
それまでは要所々々でニヤつきながら鑑賞していて、
ちょうどよい塩梅で締めくくったくらいに思っていたのに、
あのエンディングで持っていかれちゃったんですよね。
5億点は流石に言い過ぎですが、500点くらいは叩き出したかもしれない、
そのくらい言葉では表現しがたい良さがあったんです。
なんというか、シドニー・スウィーニーがEUPHORIAで演じていたキャシーのことを思うと、
幸せそうで良かったなあと、本筋とは関係ない気持ちが頭の片隅によぎったりしましたし。
また、恋ゆえの恨みは憎しみより激しい、をはじめとする引用や、
看板や文章で章仕立てになっているのも粋だなと。

多様性が謳われて久しく、数多の作品群が配慮に苦心し、
それがもはや画一性を持ち始めている昨今、
ここまでオールドタイプな、悪く言えば前時代的なキャラ設定、
ストーリー展開が世間に許され、それどころかヒットしているという状況を見ると、
抑圧へのカウンターが効く時期になったのだなと感じます。
上流階級の白人、美男美女が織りなすラブコメって久しくなかったですし、
主役二人の圧倒的な肉体の説得力にはもう黙るしかありません。
タイタニックというもはや古典ともいっていい映画の内容を、
ここまで明確にイジり倒すのも、ある意味で気持ちよく、
実際に飛んでしまったとなれば展開の上手さに脱帽。
プールと筋トレの2日間の対比構造や、
あの夜のやり直しや救助隊といった、
同じことを二度やることで変化が浮き彫りになる手法にも納得がいきます。
両親たちの違いや、その他キャラクターの立たせ方も嫌らしい部分がない。
悪意、みたいなものが全体を通して、ほぼなかったように感じます。

鑑賞後、安心ソングを検索。Unwrittenを聴きながらこの文章を書いています。
冒頭のDarondoも2曲とも気に入ったので得るものが多かった。
しかしなんなんでしょう、この邦題。
そうしないと伝わらないという認識そのものが、
このジャンルが軽んじられていることの証左なんじゃないかなあと。



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