夏の思い出(にみせかけた最後の一文のための物語)
僕は急いでいた。背中で跳ねるランドセルがうるさい。なんだって今日に限って掃除当番だったんだろう。容赦のない太陽に水分を奪われカチカチになったアスファルトをしっかりと蹴る。
金曜日は母さんの帰りがいつも遅い。中学受験を控えてるお姉ちゃんも学校からそのまま塾に向かっている。だから毎週お姉ちゃんと僕、2人分のお弁当を買っておくのが僕の係だった。
学校から僕の家の前の通りをまっすぐ抜けて、公園の先にある吉田ん家のお母さんがやっているお弁当屋さん。僕の目当てはえびフライ弁当だ。僕が