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「Noto Sans JP」を選びたくなる理由。【Web Design Talk】

こんにちは、How many designs です。
Web Design Talk というタイトルで、デザインに関するお話を少しだけ書いていこうと思います。気軽に読んでいただければ幸いです。


Noto Sans JPとは

Noto Sans JP 
https://fonts.google.com/noto/specimen/Noto+Sans+JP

Noto Sans JPは、GoogleとAdobeが共同開発して2014年にリリースされました。

日本語の美しさを表現するために設計されていて、読みやすさだけでなくデザイン性も兼ね備えています。日本語Webフォントの定番の一つであり、多くのWebサイトで使用されています。

安心して使える日本語のWebフォントはなかなか少ないのです。日本語はアルファベットに比べて文字数が桁違いに多いので、それらを網羅してデザインするのは大変です。しかも無料で使えるということもあり、利用したことがあるというWebデザイナーの方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、Noto という名前の由来は「no tofu」だそうです。

コンピューターで表示できない文字がある場合、文字の代わりに小さい四角 (□)、通称"豆腐"が表示されることが多いが、すべての言語に対応したフォントを開発することで"豆腐"が現れることがなくなるようにという意味を込めてNoto (no tofu) という名称が付けられた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Noto

Noto Sans JP の素晴らしさはデザインの良さ、だけじゃない。

1. Noto フォントプロジェクトのビジョンが素晴らしい

Noto Sans JP はデザイン的に使いやすく汎用性が高いのですが、GoogleのNotoフォントプロジェクトは、更に壮大なビジョンを持っています

Noto Sans JP は実は Noto Sans シリーズの日本語版という位置づけです。

Noto フォント プロジェクトは、コンピューターで表示できない文字がある場合に生じる("豆腐"が表示される)問題への対処として始まりました。

現在、Google のオープンソース Noto フォント ファミリーでは、美しく一貫性のある Unicode 標準のすべての記号のデジタルタイプが提供されています。その数は、800 言語、11 万文字を超えています。

そして、Notoプロジェクトのビジョンは単にフォントを用意するという枠をも超えています。それはデジタルによる希少言語の保存に貢献するという使命感です。世界の文字を全てフォントデータにするという試みは、なんだか Googleっぽいなと思ってしまいます。

検索エンジンの隆盛によって、「検索されない情報は存在しないに等しい」と言われることがありました。

もしかすると、Webフォントにおいても、「Googleフォントにない文字は存在しないに等しい」と言われるかもしれません。

Noto は、日々使われている一般的な言語で「no more tofu」を実現するだけでなく、デジタル化による希少言語の歴史や文化の保存にも貢献するものです。Google は、今後も Unicode 標準に導入された新しい文字を Noto フォント ファミリーに追加していく予定です。

https://developers.googleblog.com/2016/10/an-open-source-font-system-for-everyone.html

2. Noto Sans JPの利用しやすさ

Noto Sans JP自体の使いやすさをまとめると、以下のようになります。これだけ高機能なWebフォントを気軽に導入できるのは嬉しいですね。

  • 多言語対応: 1000以上の言語に対応しており、世界中の言語を網羅しています。圧倒的ですね。

  • 読みやすいデザイン: クセがなく、読みやすいデザインです。

  • ウェイト(太さ)が豊富: 太さが10種類用意されているため、用途に合わせて使い分けることができます。

  • 無料で商用利用可能: 誰でも無料でダウンロードして、商用利用することができます。

  • Google Fontsで利用可能: Google FontsなどのWebサービスで簡単に利用できます。

3. デジタル庁のデザインシステムで採用

誰にでも使いやすく、信頼性が高いということは、ガバメントアセットとしても使いやすいということです。

2022年11月にデジタル庁は Figma でデザインシステムの公開をはじめました。この中では Webデザインのカラーやコンポーネントが作られています。フォントはNoto Sans JP を使うよう指定されています。

さらにデジタル庁は、そのロードマップとして、各省庁や地方自治体にもこのデザインシステムを推奨しています。これらの案件では、今後 Noto Sans JP が推奨される可能性があります。

自治体の案件を受ける場合は、デジタル庁のデザインシステムにどこまで準拠すべきか確認しておいた方が良いでしょう。

地方自治体での活用の推進
日本には1700を超える地方自治体が存在します。デジタル庁が提供するデザインシステムは府省庁のウェブサイトやウェブサービスへの適用を前提としたものですが、地方自治体の方々も利用できます。これからユーザー視点のデザインを取り入れたい、利用しやすいウェブサイトを作りたいと考えている地方自治体職員の方々が、デザインシステムのデザインデータをご参照・ご活用できるようデータを公開しています。

https://www.digital.go.jp/policies/servicedesign/designsystem

Noto Sans JP かそれ以外か

強力なNoto Sans JPですが、デザイナーとしては取り敢えずで選ぶわけにはいきません。Noto Sans JP かそれ以外かを決めるには、以下の点を参考にすると良いと思います。

Noto Sans JP が適しているWebサイト

  • 情報量の多いWebサイト: 読みやすいデザインなので、情報量の多いWebサイトに適しています。

  • 多言語対応が必要なWebサイト: 多言語対応しているので、多言語対応が必要なWebサイトに適しています。

  • シンプルで読みやすいデザインを希望するWebサイト: クセがなくシンプルなデザインなので、シンプルで読みやすいデザインを希望するWebサイトに適しています。

Noto Sans JP が適していないWebサイト

  • デザイン性の高いWebサイト: 個性的なデザインではないので、デザイン性の高いWebサイトには適していない場合があります。

  • 特定の雰囲気を演出したいWebサイト: 例えば、和風な雰囲気を演出したいWebサイトには、Noto Sans JPよりも和風フォントの方が適している場合があります。

Noto Sans JP以外にも、日本語Webフォントには様々な種類があります。

Zen Kaku Gothic New

品質が高く、やや小ぶりで、現代的な特徴も兼ね備えたデザインです。通常の文書の本文や見出しにも幅広く利用可能です

Zen Kaku Gothic New

M+ PLUS

可読性とデザイン性を兼ね備えたフォント。和文と欧文のバランスが良く、幅広い用途に使えます。

M PLUS 1

さわらびゴシック

小さめの文字でもつぶれにくいことが特徴で、本文での使用を想定されています。そのため、ウェイトはRegularのみとなっています。筆文字のような”とめ・はらい”のカーブが表現されており、優美な印象が感じられます。

さわらびゴシック

まとめ

Not Sans はGoogleの壮大なプロジェクトであり、それを実現するために多くの言語や文字がサポートされています。

また、Noto Sans JP はデザインに優れ、読みやすく汎用性が高いので、取り敢えず選んでしまうかもしれません。それが目的ならその選択は正しいと言えます。

一方、Noto Sans JP 以外にも、日本語WebフォントにはZen Kaku Gothic New、M+ PLUSなど、他の選択肢もあります。

Noto Sans JP は本当に素晴らしいフォントです。そしてデザイナーは Noto Sans JPの良さを理解した上で、さらにその先にある選択肢を提案できる存在であるべきです。

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