夫婦で『ユング自伝』を読む 読書会#4
夫婦で『ユング自伝』を読み進めており、上巻を読み終わった。
どのページも面白く、少しも読み飛ばしができなかった。
ユングが出会った患者とのエピソードや、ユング自身が見た夢への解釈、そして、大学の教授になって安泰の道を進むのではなく、自身の心理学を樹立するまでの不確かな道をいかに切り開いていったのかが描かれている。
この本を読むと、寝ている時に見た夢について無視できなくなる。
ユングの人柄に惹かれる
こんなエピソードがある。
あるアメリカのビジネスマンがアルコール依存症をどうにかするためにユングを訪ねてきた。
診察を通して、ユングはそのビジネスマンの中に大きな母親コンプレックスを見出した。
彼の母親は大きな会社を経営しており、彼は跡継ぎとして、母親から圧力を受け続けており、残念ながらそれに争う強さを持ち合わせいなかった。
ユングは彼の母親には会ったことがなかったので、その場では断定せずにいたが、後日母親自身がユングを訪ねてきたことにより、彼女が権力の化身そのもので、息子に大きなプレッシャーを与えていることが判明した。
そこでユングはその母親に、息子はアルコール中毒なので、仕事をさせてはいけないと診断をくだし、母親は息子に仕事をやめさせるように勧告し、実際に母親は息子を免職にした。
息子のビジネスマンはユングに対して怒りをあらわにしたそうだが、後日、彼は大成功し、アルコール依存症をも克服した。
ユング自身も述べているとおり、この行為は「非道徳的」であり、現代で考えるとここまでしてよいものかどうか疑問に思うが、患者のための思っての行動は、彼自身大きなリスクをおっており、その大きなリスクをおっているからこそ、人に響く、そして人を変えることができるのだと思った。
またこんな記述がある。
「私の生涯のうちで最もすばらしくかつ有意義な会話は、無名の人々との会話であった。」
フロイトのことはよく知らないが、ユングには人間らしさを感じる。
ユングに学ぶ己の道を進む覚悟
フロイトと決別し、指針を失った後、ユング自身が道を切り開いていく様は痛快だ。
彼は彼の中にあるものを信じていた。
その信頼が、大学の教授になって安泰への道を進むことをユング自身に許さなかった。
それでも、どの方向に行けば良いのか、ユング自身がしらず、方向が定まっていなかたっが、ユングはさまざまな手段で、道を切り開いていく。
その一つが、ユングが子供のころに熱中した遊びを再度してみることだった。
それは「建築遊び」と呼ばれ、積み石の玩具で小さい家や城、そして村をつくるという遊びだった。
天気が良い日は毎日昼ごはんのあとで、この遊びを続けたそうだ。
その遊びを通じて、一連の空想の流れをさそいだし、後になって注意深く書き留めた。
また、イメージが人格をともなって湧き上がるときは、その人格との対話を注意深く書き記すこともしていた。
そして戦争中には、毎朝ノートブックにマンダラを書き、心の変容をつぶさに観察した。
これらを通して、自己の状態を知り、自分の中心への洞察を深めることにつながった。
下巻へつづく
上巻は非常に面白かったので、ユングの「アーキタイプ」についての発見が描かれるはずの下巻が楽しみだ。
上巻を読み、いかに自分が、自分のみた夢や空想を粗末に扱っているかということを思い知った。
今後は自分のみた夢の記録をとり、それについて考える時間をとることにしたい。
また、ユングは神話に登場する象徴や記号を、自身のみた夢や湧き上がってくるイメージの解釈する際に活用していた。
自分の夢や空想が神話と結びついていると思うだけでワクワクし、神話ついても学びたいと思った。
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