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『マトリックス』を観るのは人生で何回目だろう

低気圧頭痛に苦しみ、プログラミングに集中できなかったため、久しぶりに『マトリックス』を視聴。

中学生の頃、はじめて『マトリックス』を観た時は、ワイヤーアクションを使った戦闘シーンに衝撃を受けた。

大人になって改めて観ると、背景思想や設定など、より細部に渡って観れるようになり、何度観ても飽きることはない。

物語を引っ張る謎

主人公のネオは結局「救世主」なのかどうかが、大きな謎として物語に貫かれている。

ネオが救世主であることを否定する預言者オラクルとの会話も、よく聞けば、ただ否定されているだけではない。

「救世主であることは恋をするのと同じ
“運命”なんて決して信じてはダメ
人生は自分で決めるものよ」

とオラクルは語る。

ネオ自身が自分を救世主と思っていなければ救世主ではないし、救世主だと自覚すれば、救世主になる。

人間とは

物語の途中で敵のエージェント・スミスから、人間の過去について明かされる。

スミス「最初のマトリックスは完璧な人間世界として作られたと知っているか?だが、だれもこの世界を受け入れなかった」

最初のマトリックスからは、エネルギー源としての“収穫高”はゼロだったと語られる。

試行錯誤の上に現在のマトリックスが存在し、人間は理想郷にいると絶滅してしまい、人間は不幸や苦しみがないと生きていけない種であるという事実。

人間が悲劇やホラーを求める理由はそこにある。

「幸せになりたい!」と願っても、そもそも「不幸な現実」という比較するものがなければ幸せを実感できない。

幸せと不幸せは表裏一体だ。

人間という生き物の不思議さ、奥深さを考えさせられる。

魅力的な周りのキャラクター

サイファーは見た目から怪しく、結局仲間を裏切る。

しかし、彼がマトリックスの世界に戻りたいという気持ちには非常に共感。

現実の世界は体中にプラグが埋め込まれ、人間を狙うセンチネルやエージェントからコソコソと隠れて暮らし、毎日おかゆのような味気ないご飯を食べる日々。

そのような環境では、よほど高い理想や信念がなければくじけてしまう。

「マトリックスに戻ったらお金持ちにしてくれ」とエージェントに要求する俗物代表の彼に、モーフィアス率いる革命軍での居場所はなかった。

そんなサイファーは「無知は幸福」という、「知らぬが仏」に近い名言も残している。

俗物という点においてサイファーに近い男がマウスで、彼は赤いドレスの女性をプログラムで作った男。

彼もまた「衝動は人間らしさの証」という名言を残している。

まとめ

『マトリックス』 の世界的成功は、派手なアクションシーンだけではなく、「人間とは」、「現実とは」、「幸せとは」というテーマを魅力的なキャラクターによって描いている。

『マトリックス』という映画の思想背景をもっと知りたい人には以下の本がおすすめだ。

映画の冒頭で、主人公ネオが部屋を尋ねて来た者に、違法なプログラムの入ったディスクを渡す。

ディスクは本の中に隠されており、その本のタイトルが『シミュラークルとシミュレーション』。

ウォシャウスキー監督がキアヌ・リーブスはじめ、主要俳優陣に課題図書として読むように指示したのがこの本で、映画自体のネタ元となっている。

シミュラークルとは、虚像や模造品(コピー)といいう意味のフランス語。

本書では「企業やメディアが決めたコピーや記号(ブランド)などであふれかえってしまう」と現代の消費社会を批判した。

例えば、ルイ・ヴィトンなどのロゴ。

ロゴが付いてるから価値があるのか。鞄としての価値は二の次なのかという話だ。
 
ぼくたちが当たり前だと思っている世の中は、実は誰かに作られた虚像の世界で、一人一人が目覚める必要がある。



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