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【デザイン思考】42 Abu Dhabi(アブダビ)のイベントに参加

1週間ほど前に42の学生専用サイトを見ると、イベント欄にある講演会の予定がのっていました。

内容は「デザイン思考」で、42 Abu Dhabi(アブダビ)が主催しているもの。

いつもは他の国の校舎のイベントは公開されていないので、興味本意で登録し、先日イベントに参加してみました。

参加者たちがどの国から参加しているかは確認できませんでしたが、人数は60人ぐらい。

Zoomで参加し、進行役の女性(42 Abu Dhabiのスタッフの方だと思う)から権限を与えられるまで生徒がマイクを使って発言ができないようになっていました。

これは、不注意で生徒のマイクがオンになり講師の話を遮ってしまう事態を防ぐことができるので、いいアイディアだと思いました。

イベント中はチャットが使えたので、講師の方への質問も可能でした。

すごい経歴の講師

講師の人はアブダビのOracle社の方で、肩書きはHead of Innovation & Industry Director。

ポーランドのワルシャワ大学でMBAと物理の博士号を取得し、MicrosoftやT-Mobileで働き、起業と事業売却も経験している方でした(すごすぎる…..)。

Oracleには10年以上勤められており、肩書きから察するに、社内でのイノベーションを起こすための仕掛け作りをする方のようです。

1時間という限られた時間の中で、たくさんのパワーポイント資料を駆使して「デザイン思考」についてレクチャーをしてくださいました。

「デザイン思考」とは?

「デザイン思考」は10年ぐらい前に広まった言葉だと記憶しています。

大学時代に読み、今でもぼくのバイブル本『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』の中で、著者のダニエル・ピンク氏は「イノベーションを起こすために、これからの時代はMBAではなくMFA(美術修士号)のほうが重要になる」とMFA取得者の就職状況などを元に証明をしており、衝撃を受けました。

この流れでビジネスの領域でもアートやデザインに注目が集まり、一躍脚光を浴びたのが世界的デザインファームの「IDEO」です。

世界最初のマウスを作った会社で、大学時代に以下の動画(スーパーのカートを5日間で作るというテレビ企画)を見て、プロトタイプをサクッと作る商品開発や、職場に「航空機の翼」を設置する遊び心が印象的です。

「IDEO」関係者の本も出ており、以下の2冊を読んでワクワクしました。

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
IDEO創設者の本で、まずはユーザーの行動を偏見なき目で観察することや、プロトタイプをもとに議論することなど、イノベーションを起こす手法が惜しみなく書かれています。

デザイン思考が世界を変える
IDEO社のCEOの本で、人間を中心として考える「デザイン思考」の入門書のような本です。

イベントの中で「デザイン思考」とは、「イノベーションを起こす方法」として紹介されました。

具体的な手法としては「ペルソナ」を活用することです。

問題をはっきりとさせるためにペルソナを活用

世の中の多くの会社が起業に失敗する理由は、「存在しない問題を解決しようとしている」から。

ユーザーが抱えている「本当の問題」を把握することがビジネスの成功において重要です。

アインシュタインも 「If I had an hour to solve a problem, I’d spend 55 minutes framing the problem, and 5 minutes thinking about solutions.」という言葉を残しており、問題を把握することの重要性を物語っています。

そして「本当の問題」を知るためのツールの1つが「ペルソナ」で商品やサービスの典型的なユーザー像のことです。

実際にその人が実在しているかのように、年齢や性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方、ライフスタイルなどなど、リアリティのある詳細な情報を設定していきます。

次に行うのが「Journey Map」を作成することで、例えば設定したペルソナが「車を買う」という行動をした場合のステップを細かく追っていきます。

インターネットでどんな車があるのかを調べる→友人に相談する→...などなど

そのステップの中で、どこにビジネスチャンスがあるかを探っていきます。

「PESTLE」でマクロ影響要因を知る

講演会を通じて初めて聞いたフレームワークが「PESTLE」でした。

「PESTLE」は、下記の言葉の頭文字を取っています。
・Political:政治的
・Economic:経済的
・Sociological:社会的
・Technological:技術的
・Legal:法的
・Environmental:環境的

「PESTLE」を使って、企業がコントロールすることができないマクロ的な要因を6つの視点から分析し、ビジネス判断を下すときに考慮すべき要素を可視化するものです。

おまけ

講演の終わりに質問ができたので、書店でよく見かけるようになった「アート思考」について聞いてみると、講演者の方はアート思考について聞いたことがないとのこと。

世界ではアート思考は流行っていないようです。

あと、アブダビという名前についても気になったので調べてみました。

諸説あるようですが、アブダビにはカモシカの仲間であるオリックス(dhabi)が多く、アブダビは当初「Dhu Dhabi」と呼ばれており「カモシカを飼う者」という意味とのこと。

そしてAbuは「お父さん」という意味です。



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