レビュー『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』
いままで気づきそうで気づかなかった視点を与えてくれる本を「盲点本」と呼んでいるのですが、久々に出会った盲点本が本書!
ゲームデザイナーが考える、仕事の進め方についての本です。
チームを率いている方や、あくせく出世を狙うより、仕事を楽しく、充実させたいと考えている人にオススメです。
なにが盲点だったかというと、ゲームデザイナーの仕事は、プロジェクトの進め方と親和性が非常に高いこと。
というのも、どちらも「環境をデザイン」することにかかわっているからです。
ゲームデザイナーは、プレイヤーが「楽しく、目的(ゲームクリア)を達成できる」ようなゲームを作るのが仕事。
ゲームを仕事のプロジェクトととらえると、「楽しく、目的を達成させる」チームや仕事場を作ることが可能となります。
ゲーム作りの視点でプロジェクトをとらえなおした本書の内容を実践すれば、つまらない仕事が、たしかに100倍は楽しくなりそうです。
一番のまなびは、「冒険の地図を書く」こと。
A4の紙の中央に冒険名を書き、まわりに要素、冒険に対するもやもやした思いを、制限時間三分のあいだに書き出していきます。
この冒険の地図はなん度も書き直しますが、そのさいに以前のバージョンは見ないで書きます。
最初の冒険の地図からすべての地図を保管しておき、ある程度地図が溜まったり、プロジェクトが行き詰ったときに、最初の冒険の地図からバージョンの推移を見ていきます。
そうすると、自身の成長を実感することもできますし、自分の気持ちの移り変わりがはっきりと現れているのが分かります。
ほかにも上司を味方につける方法や、メンバーをパワーアップする方法、ミーティングのやり方など、すぐに実践できる方法が盛りだくさん。
著者はゲームデザイナーとして有名な米光一成さんで、『ぷよぷよ』など数々のゲーム監督・脚本・企画を手がけた人物です。
本書は、見開き2ページでひとつの話が完結しており、サクサクと読み進んることができ、まるでゲームをクリアしていくような斬新な切り口でデザインされています。
薄い本ですが、それだけ本質以外の部分がそぎ落とされ、読む楽しさを増しています。
まとめると、「チームでのプロジェクトは、みんなが楽しくやらないと!」と掲げ、具体的にどうやるのかを教えてくれるのが本書。
たしかにゲームは「楽しく」、子供もだけではなく大人も夢中になってしまうものなので、そのゲーム感覚を仕事にも適応することによって、メンバーが楽しいと思える場をつくり、プロジェクトの成功へと走り始めさせることができます。
本書では「プロジェクト」の定義を、「複数の人間が集まって、何かを成し遂げようとすること」としており、応用範囲がかぎりなく広いです。
なにか新しいことはじめるたびに、読み返そうと思いましたし、仕事のプロジェクトだけではなく、夫婦での取り組みにも使えると思いました。
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