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レビュー『ジローとぼく』

めっぽう犬の絵本に弱いのだが、この絵本には表紙でやられた。

だって、犬の眉毛が白いから。

そんなチャーミングポイントと、舌をたらし、かわいらしい表情でこちらを見つめている姿に思わず手にとった。

読んでみたらまさに、愛犬家にはたまらない一冊!

この絵本は、子どもたちにとっては価値ある教訓を与え、大人たちにとっても「再認識するべき大切な価値観」を提示する作品だ。

大島妙子の美しいイラストと優しく温かい文章が、読者の心をつかみ、『ジローとぼく』は、子どもから大人まで幅広い層に愛される優れた絵本だと思う。

ものがたりは、拾った子犬「ジロー」と、主人公の「ぼく」を中心にすすむ。

ジローとぼくはいつも一緒に寝ているが、ジローはどんどんと大きくなった。

そこで、ぼくはお父さんといっしょに「ジローの家」を作ってあげることに。

別々に寝ることになったジローとぼくは…。

『ジローとぼく』は、主人公のぼくが、ジローとの友情や家族愛、そして助け合いを通じて成長していく物語。

読者たちは、主人公の「ぼく」とともに、彼の人生に感情移入し、心温まる物語を体験することができる。

本書をよみ、ぼくも子供のころ、犬が大好きだったことを思い出した。

主人公と同じように、犬は宿題もなく、学校に行く必要もなく、働かなくてもいいから、いいな〜と思っていたものだ。

本作品は、大島妙子の独特なタッチで描かれた美しいイラストと、優しく温かい文体が特徴。

彼女のイラストはとても暖かみがあり、優しい印象を与える。

また、色彩の使い方も巧みであり、物語の雰囲気をうまく表現している。

それらは世界観を一層深く印象付けるものとなっており、読者たちは、絵を見ながら物語に没頭し、ジローたちの世界に引き込まれることができるだろう。

また、文章にも大島妙子の人間味あふれる温かさが表れており、子どもたちにとっても理解しやすい内容となっている。

本作品が伝えるメッセージは、動物との共存や、家族愛といった、基本的な人間の価値観。

特に、現代社会において、自分自身の価値や自己実現の追求が強く求められる中で、こういった基本的な価値観を見失ってしまうことも少なくない。

そんな時こそ、本作品のように、優しく温かい物語を読むことで、改めて大切なものを再認識する機会となる。

不思議なストーリー展開が楽しく、ラストも、ほほえましくて心温まる一冊。


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