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レビュー『これならわかる「カラマーゾフの兄弟」』

文学史上の傑作として読み継がれている『カラマーゾフの兄弟』。

同時に、同書は難解な書籍としても知られています。

そんなカラマーゾフを深く理解するには、「キリスト教文化」と「ロシア」にどちらにも精通し、信頼できる人物による解説が欠かせません。

そのような人物が作家・佐藤優さんで、本日紹介する本は佐藤優さんによる解説本『これならわかる「カラマーゾフの兄弟」』です。

今読んでいる方やすでに読了している方の理解を助けますが、カラマーゾフ自体を読んでいなくても楽しめるので、カラマーゾフを読破できなかった方にもオススメです。

じつは昨日、亀山訳『カラマーゾフの兄弟』の四巻を読了しました。

読んでいるあいだ、つねに疑問におもっていたのが「登場人物たちの不可解な行動」。

「これならわかる」を読むと、ぼくにとって一件不条理に見える「彼らの思考や不可解な行動」も、彼らなりの合理性にしたがっていると知ることができ、ロシア人は非常に特殊な精神構造を有する人種であることがわかりました。

そして、「ある国の人たちの精神構造を、文学の名作をつうじて読みといていく」と作業は、本書をつうじてはじめて行った作業なので知的興奮をおぼえました。

どの国の人にも、その国の人の論理が背後にあり、現代のグローバル社会の価値観を一概に適用してはいけないと教わったような気持ちです。

また本書では、カラマーゾフのなかでもとくに難関と言われる「大審問官」、「ロシアの修道僧」を中心に解説。

「ロシア正教では神が人になったのは、人が神になるため」であるといった神学の知識とともに、深い読み解きをおこない、理解を深めるうえで非常に参考になりました。


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