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レビュー『なぜ古典を読むのか』

なぜ古典文学を読む必要があるのでしょうか?

そんな質問にどストレートに答えてくれるのがイタロ・カルヴィーノのエッセイ集『なぜ古典を読むのか』という本。

本書は、現代の世界における古典文学の重要性とその価値についての深い考察を提供しています。

カルヴィーノは、さまざまな時代と文化からの古典的な文学作品が、彼らの時代や起源の境界を超えた不朽の価値を持っていると主張します。

なぜ古典を読むのか?

最初の21ページまでが「なぜ古典を読むのか」というエッセイになっており、たとえば、以下のような古典の定義について新しい視点を与えてくれます。

古典を読むときは、できるだけその本について書かれた文献目録や脚注、解釈を読まないで、原点だけを直接読むべきである。
これはいくら書いても書き足りないほど重要なことだ。
ある方について書かれた本は、それが問題にしている原点より多くを語る事はありえないと言う事実を理解する場所、空中、高等学校
原点の真髄を把握するためには、原作者よりもよく知っているつもりになっている。仲介者をまず除外しなければいけない。そこでこういう結論が出る。
古典とは、その作品自体にたいする批評的言説というこまかいほこりをたてつづけるが、それをまた、しぜんに、たえず払いのける力をそなえた書物である

P14

古典とは、古代の護符に似て、全宇宙に匹敵する様相をもつ本である

P16

その後は書評・評論集となっており、紹介される古典作品の内容を知らなくても楽しむことができます。

というのも、カルヴィーノが自身の読者および作家としての経験について考察し、古典が彼の人生と創作姿勢にあたえた逸話を共有しているからです。

人間理解

本書の中心的なテーマのひとつは、古典文学が人間の本性や世界の複雑さに関するさまざまな洞察を提供するというもの。

カルヴィーノは、古代ギリシャの悲劇から中世の叙事詩、19世紀の小説まで、これらの古典的な作品は、自分たちの社会と自分自身をながめる鏡を提供すると主張しています。

それは、愛、死、道徳といった普遍的なテーマであり、人間の条件ともいえるため、すべての世代の読者に関連しているからです。

カルヴィーノは「古典」という概念をダイナミックかつ進化するカテゴリーとしてさらに探求。

彼は古典文学に対する積極的な関与の重要性を強調し、これらのテキストを生きた対話としてアプローチすべきであり、古典文学は現代の問題と関心に共鳴しつづけるものであると示唆します。

過去の偉人から創作論を学ぶ

本書では、ストーリーの魅力的な力と、古典の著者がその技術を磨き上げた方法について議論されています。

過去の偉人たちの創造性の秘密と、その重要性について語り、古典的なテキストにふくまれるディテールや使用される言葉を存分に味わうことを奨励しています。

美しいストーリーテリングにたいする深い愛情を感じ、カルヴィーノ自身の創作論にあたえた影響を垣間見ることができます。

まとめ

まとめると、カルヴィーノの雄弁で考えさせられる本エッセイは、古典の永続的な重要性にたいする情熱的な訴えです。

古典的なテキストが代表する豊かな文化遺産を祝福し、過去の不朽の傑作を探求しようとする人々にインスピレーションをあたえます。

本書は文学の価値を評価し、人間の創造力を探求する人々にとって必読の書といえます。


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