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イベントレビュー 「小説家の可能性はどこまで広がるか?」

先日、noteのラジオイベントに参加しました。

テーマは「小説家の可能性はどこまで広がるか?」で、スピーカーは深見真さんとアサウラさん。

深見さんは、ぼくが大好きなアニメ『PSYCHO-PASS』(以下サイコパス)で脚本を担当。

アサウラさんは、いま話題のアニメ『リコリス・リコイル』(以下リコリス)でストーリー原案を担当された方です。

お二人とも小説家であり、残念ながらお二人の小説は読んだことがないのですが、「サイコパス」、「リコリス」という言葉につられてイベントに参加してきましたので、創作に役立つ学びをまとめます。

学び①:とにかく書け!

印象的だったのが、お二人とも「ドラマの新人賞」を狙っているということです。

すでに小説家としてデビューし、アニメの脚本家としても活躍しているお二人ですが、ほかの分野で新人賞を狙っているハングリーさに驚きました。

しかし、「何か依頼がないと書きづらいけど、依頼がなくても書く」と深見さんがおっしゃっており、「依頼がなくても書く」という姿勢は、物書きを目指す人ならば身につけているべき基本的な態度ではないでしょうか。

こう考えると、キャリアを積まれているお二人でも、他の分野で新人賞を狙うのは、当然のように思えてきます。

また、考えすぎて書けていない人に向けてのアドバイスには、「明確なビジョンや設定、プロットをあんまり考えすぎず、とにかくはまず1本作ってみる」ことが大切とおっしゃっていました。

1本作品が完成し、その作品について感想をもらうことができたら、それを次の作品につなげることで成長することができます。

さいごに強烈に記憶に残っているのは、「やる気は仕事をはじめないと出てこない」という言葉で、とにかく仕事をやりはじめることが重要だと学びました。

学び②:「好きなもの」でテーマを補強

イベントではお二人の創作術についても触れられ、その中で胸をうたれたのは「好きなもの」でテーマを補強するという手法です。

二世界物語』を書き上げる際に、「東京リベンジャーズ、ジョン・ウィック、アサシンクリードなど」といった好きな作品の要素で、テーマを補強したとのこと。

テーマを補強することは、テーマを隠すことにつながり、こうでもしないと長編小説は書ききれないとおっしゃられていました。

また、イベントのなかで驚いたのは、お二人の好きなものの「広さ」と「深さ」です。

好きの「広さ」に関しては、サバゲーや釣りといった趣味にはじまり、ゲームや映画、マンガやアニメと幅広く話題にあがりました。

イベントの中で出てきたアーティスト・作品は、林原めぐみ、B’z、ジョン・ケーン、ディパーテッド、スレイヤーズ、猛き箱舟、人狼、クローネンバーグの裸のランチ、狂い咲きサンダーロード、イノセンス、銃夢、おもいでエマノン、EVE burst error、パイナップルARMY……

自分がメモを逃した作品もまだまだありました。

さらに、お二人の好きなものの「深さ」が違うと思いました。

深見さんは「人生に大事なものは映画からおしえてもらった」というぐらい、映画から影響を受けており、とくにアクションシーンは、ジョン・ウー監督の作品を参考にしているそうです。

「生きざまと死にざまを描いており、怒りとか涙が銃がでているから、銃は1丁では足らない」と熱く語られていました。

とくに落ち込んだときは『男たちの挽歌II』を観ているとのこと。

逆にいうと、一晩語り尽くせるぐらいの「好きなもの」がないと、良いストーリーは書けないのかもしれません。

学び③ 客観性をもつことが大切

うまくいかない人というのは、おなじことを繰り返している可能性が高いので、方向性をガラっと変える必要があると語られました。

これは、「同じことを繰り返し行い、違う結果を期待することを、狂気と呼ぶ」という、どこかで聞いた名言にもつうじます。

ただ、いきなり客観性をもつのは難しいので、「まずは謙虚になろう」と深見さんはアドバイスしていました。

何にたいして謙虚になるかというと、「読者の反応」にたいして謙虚になることで、予想どおりの反応がかえってこなくても、決して読者のせいにしてはいけないといっていました。

ラジオイベントについて

ラジオイベントに参加したのは初めてだったので、新鮮にかんじました。

ツイッターのスペースという機能を使ったラジオだったのですが、イベントの様子をその場でツイートできるのも画期的。

ただ、映像のイベントになれているせいか、声だけで、だれがしゃべっているかを判断するのが難しく感じました。

いま話しているのは「サイコパス」の人?「リコリス」の人?どっち?

と、ラジオがはじまってから、登壇者のそれぞれの声質と、その人の経歴をむすびつけるのが大変。

慣れてくると、優しい声の人は深見さん、少し低い声の人はアサウラさん、と区別がつくようになりましたが、個人的には映像のイベントのほうが好きだとわかりました。

それでも、とにかく書くもの、好きなもの、客観性というキーワードからの学びが多く、声だけでお二人の情熱が伝わってくる内容で、楽しかったです。


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