レビュー『十二世紀のアニメーション』
一言でいって、名著だと思います。
本書の特徴はなんといっても、アニメの巨匠「高畑勲監督」が著者であること。
高畑監督の著者はそれほど多くなく、映画について語った『映画を作りながら考えたこと』や、絵画を語った『一枚の絵から 日本編 』といったがあります。
その著者のなかでも異色なのが本書、『十二世紀のアニメーション』。
日本アニメのルーツが平安時代の絵巻物にあると語り、「信貴山縁起絵巻」「伴大納言絵詞」「彦火々出見尊絵巻」「鳥獣人物戯画」がとりあげられています。
教科書にものっている「鳥獣人物戯画」は、知っている人もおおいと思いますが、アニメーション監督である高畑氏の解説により、絵巻物のダイナミズムがうかびあがってきます。
絵巻物の構図や人物の動き、シーンの入れ替わりを、演出家の視点で詳細に読み解かれており、あきらかにされる奇想や遊び。
カラー写真もきれいで、文章も平易でわかりやすく、絵巻物、マンガ、アニメが「時間とともに見進む」という共通点をもっていることを、再認識させてくれます。
アニメ好きな人や、日本文化に興味のある人におすすめです。
ながめているだけでも楽しく、所有欲をくすぐる一作。
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