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記事一覧

黃芝雨(ファン・ジウ)「痛恨の後悔」

哀しい 私が愛したあとごとに 尽く廃墟である 完全に壊れきりながら 完全に壊しきっておい…

シン・ヒョンチョル『没落のエチカ』より

私はいつも没落したものたちに魅了されてきた。人生のある曲折において、一瞬ですべてを失うも…

シン・ヒョンチョル「無情な神と愛の発明」(『人生の歴史』より)

ある価値あるいは制度の再発明を要請する人は革命的である。既存のものは偽りと、本物は別にあ…

シン・ヒョンチョル「ひらめの十全さについてー愛の論理学のための補足」(『悲しみに…

誰しもが欠如を持っている。恥ずかしさゆえに大概はそれを隠す。他の人々もしかりであろう。と…

京極夏彦『覘き小平次』より

何もせずとも如何にもならぬのであれば、何かすることに何の意味があるのか、そこのところが判…

江國香織『きらきらひかる』あとがきより

素直にいえば、恋をしたり信じあったりするのは無謀なことだと思います。どう考えたって蛮勇で…

谷川俊太郎「九月のうた」

あなたに伝えることができるのなら それは悲しみではありはしない 鶏頭が風にゆれるのを 黙ってみている あなたの横で泣けるのなら それは悲しみではありはしない あの波音はくり返す波音は 私の心の老いてゆく音 悲しみはいつも私にとって 見知らぬ感情なのだ あなたのせいではない 私のせいでもない

谷川俊太郎「泣いているきみ」

- 泣いているきみのとなりに座って ぼくはきみの胸の中の草原を想う ぼくが行ったことのないそ…

谷川俊太郎「きみ」

きみはぼくのとなりでねむっている しゃつがめくれておへそがみえている ねむってるのではなく…

野家啓一『物語の哲学』より

(…)後半の注においては、その時間的順序を逆転させ、「語る」あるいは「書く」という人間的…

キム・ヨンミン『人間として生きることは一つの問題であります―政治的動物への途』翻…

とうとう私のまわりにも田舎暮らしのよさを喝破する人があらわれはじめた。油断大敵とはよくい…

キム・ヨンミン『人間として生きることは一つの問題であります―政治的動物への途』翻…

政治共同体は自然の産物である。そして人間はその本性上、政治的動物である。偶然でなく、本性…

キム・ヨンミン『人間として生きることは一つの問題であります―政治的動物への途』翻…

 政治はどこにあるだろうか。国会にあるだろうか。青瓦台にあるだろうか。裁判所にあるのか。…

キム・ヨンミン『人間として生きることは一つの問題であります―政治的動物への途』翻訳 #1「プロローグ 誰にも人生はやりやすいものではない」

※紹介したさあまりの、ごく個人的な作業であることを断っておきたい。  私は誰にも人生は容易なものではないと思う。人生が誰においても同じ程度で過酷なはずはない。しかし誰にも容易ではない。私が聞いて、見て、経験した人生すべてがそうだった。朝に起きたら泣いていた。洗顔をしていたら、鏡のなかに随分と老いてしまった自分を目にした。死ぬまで部屋のホコリを掃除しなければならなかった。金を稼ぎに行っては二度と帰らなかった。子どもは助産院で産まれた。誰かを憎んでいるの憎まないよう必死に頑張ら