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平成3年生まれが令和3年にぶどう農家として独立して思ったあれこれ。~収穫全33日間で考えたこと。

 何故?ぶどう栽培をするのか?と問われれば、、、

大迫にいるからです。

 答えはいつもシンプルでないと相手に伝わらない。

 で、何かを伝える時は、なるべく一言で伝わることを心掛けている。例えば、自己紹介で、「鈴木寛太です。ぶどうやってます!」というように、30秒もいらいないくらい、バン!と、一言で相手に伝えることが、分かりやすいし、相手はボクのことをぶどう屋さんと分かってくれる。そこから会話が始まる。会話が弾む。

 町中で知り合いに会えば、必ず「ぶどうの調子どお?」「今年のぶどうは良い感じ?」「今、どんな作業してるの?」とぶどうを心配してくれる。鈴木寛太=ぶどうが定着している。

 さて、今年は、そんなぶどう屋さんが、無謀とも言える挑戦をやってみた。そこには2021年の自分の中のテーマで「不可能を可能に!」と、誰にも公表しなかったけど、そんなテーマがあった。

 2021年も昨年と相変わらず、よくわからん新型ウイルスのせいで、混乱した日々。「これからどうなるの?はやく東京に帰らせてww」と何度思ったことか。

 でも、2020年の教訓から、今、不可能だと思うことをどうしたら可能になるかを考えて、行動する!それに限ると思った。

 出来ない事から考えるんじゃない。どうしたら出来るのかを考える。

 だけど、さすがに一人で1町歩(約3,000坪)の面積でぶどうを栽培するのは死ぬかと思ったwwそんな話を交えて、つらつら話したい。

 今年の春前に約50a(アール)の面積のぶどう園地を借りてほしいという話が舞い込んできた。約4年前に初めてぶどう農家となった時は約10aの面積を借りて農業をスタートさせた。今回は約50aのぶどう園地をお借りしたことで、合計栽培面積は約一丁歩。100a(約3000坪ってなに?ww)の面積だ。

 担い手不足、農業従事者の高齢化により、毎年突きつけられる大きな課題。その課題を解決するために、2015年夏に移住したわけだけど、その時はまったく農家になろうなんて思ってもいなったし、なろうなんて一ミリも思ってもいなかったけど、気が付けば、自分が栽培をすることで、新規にぶどうをやりたいと思う人の説得材料になる!と信じてここまでやってきたが…。一丁歩って、、、。ちょっ。。フェス会場じゃん?え?

 でも、この思いを一言で表現するなら、これ。

「逃げ場所のない覚悟が夢に変わった」by長渕剛「しゃぼん玉」(1991)

 逃げ場ないですwwほんとにww逃げ場がないわけじゃないけど、逃げないけど。でも、それがある意味「夢」となったんだと思う。

 それを言うと必ず「ぶどうで食ってはいけない!やめておけ。」とも言われる。でも、ごめん!!いっかい、やってみよう!!と思ったことはやらないと気が済まないので、やってみて、ダメなら考えます!wwと、おっぱじめると止まらないww

 それで、話を戻すと、約50aの面積は言葉で言うのは簡単だが、実際の面積を目の当たりにするととんでもなく大きい。賃借の手続きが終わり、めちゃくちゃ不安だったボクは改めて園地に向かい、その広さを見て思った。


やれる!!



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 はい!出ました!裏付けのない自信!←どっから出てくる??ww

 一人でぶどう栽培が出来る限界が約30aと言われる中で、一人で100aはクレイジー過ぎる(後に大迫にクレイジーな農家がいるということで助っ人登場となるww)と自分の頭ではわかっているが、ボクの体はまだ知らない!

 この世には、頭では理解できるが、体がそれを知らないことが多く存在する。例えば、東京にいて、冬の岩手の気温は-10度。と言われて、あー。相当寒いんだなー。こたつでぬくぬく。

 けど、実際にその現場に行けば、耳がちぎれそうなほどの寒さを体験する。これが頭では理解できているが体は理解していない一例じゃないかな?(伝わりますか?ww)

 さて、春前には枝の剪定作業、続いて5月頃に大イベント、ビニールかけ作業というのがある。これがなんとも大変。ぶどう棚の上にビニールを被せるという文字通りの作業である。ビニールかけをすることにより、病気を防ぎ、生育を安定させる効果がり、大迫のぶどう農家のほどんどがこのビニールかけを行う。

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ビニールをかけ終わると芽が出てくる!こんにちは!

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 芽が出てきたらあれよあれよと成長していき、作業が追い付かなくなるww

 暖かくなってきたということは、草もどんどん生えてくるので、草刈りもやらなければいけない。今年は背中をアブに刺されて大変だったww

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そして、今回もたくさんの仲間に助けられた。

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ほんとうに感謝です!!!!!!!!

収穫のタイミングで草刈りもやらないといけなくて…。大迫のスーパーマンにも助けられました。。。

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 毎日毎日毎日毎日、ぶどう園地で栽培をして、これほど大変な年は無かったと思った。「なんでそんなに頑張るの?」と言われることもあるけど、もう一回言いますが、これなんだと思う↓

「逃げ場所のない覚悟が夢に変わった」by長渕剛「しゃぼん玉」(1991)

言いたいだけww

 ずっと思っている。この大迫という町は、まだ可能性が十分すぎるほどある町なんです。それが、担い手もいなくなっていって、廃れていくのがもったいない!もったいない!もったいない!

 そんな中で一人バカみたいに走っていると、それをサポートしてくれる仲間、手を差し伸べてくれたり、知恵を貸してくれる仲間がいて、、、、




「どうしてそんなに優しいの?」




 という気持ちが湧いてくる。今年はずっと、その言葉が心にずっとあった。手を差し伸べてくれる地域の方、仲間がいるから頑張れるわけで、それがボクを前へ前へと突き動かしてくれる。背中を押してくれる皆さんへの恩返しをしたい。


皆さんのこの優しさが大好きでーーす!!!(叫び)


 大迫でお世話になってる方や地域の為に、ぶどう産業を盛り上げたい。明確な目的があるから、突き進むことが出来るんだと思う。

 はっきりと誰の為に!が分かっている。

 でも、2021年のぶどう栽培はどうだったかというと、苦行の連続だったw

 実際、猛暑で畑で倒れそうになった(危ないやつ)、一回休憩しようと座ると、もう立てなくなって、「あ、これ、やばいw帰ろ」って思ったのが約3回。突然吐き気が襲った時もあった。体力がどんどんなくなっていったけど、「ここで倒れたら、誰がぶどうやるの?」っていう思いだけで、己を奮い立たせていた。毎日のようにぶどうと向き合った日々。死に物狂いに戦った夏。とにかく攻めた夏。

 何事もそうかもしれないけど、攻めていかないとリターンも少ないのがぶどう栽培だとすれば、これからも攻めて攻めて攻められるところまでいこうと思う。多分、まだ収入的には厳しいところはあるけど、あと3年くらいはかかるかもしれない。けど、なんとなく見えてきたので、攻めていこうと思う。攻めても自然相手だから、どうにもならん時もあるけど、一つひとつ課題に向き合って、問題を潰していければと思っている。そのひとつとして、今年も動物の被害に頭を抱えたが、なんとか乗り越えた。

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【鈴木寛太が考える獣害対策】

・ハクビシン→ぶどうまもーる+電柵

・鳥→ぶどうまもーる

・鹿→電柵+罠

・蜂→やられる前に収穫

・熊→逃げろww

 で、独立して、日々の生活の中で、知らなかったことも多く学ぶことが出来た。知らないことを知ることで、初めて動けることもたくさんある。次の動きが分かるから率先して体が動いて仕事がスムーズになる。今まで知らなかったことが多かったけど、理解したことで、ぶどうをより知ることが出来たことは幸せなこと事だと思った。また、この体験を人に伝えることが出来る。その連鎖が地域には大切なんじゃないかとも思った。

 それが形となり、今年もたくさんの方にぶどうを食べていただいたわけで、その皆が言ってくれる「美味しい!」が何より力になるので、ほんとうに、それが幸せです。たぶん「幸せだなー」って思う瞬間って本当に一瞬なんだけど、その一瞬が十分すぎるエネルギーをくれる!(燃費の良さww)


 そんな燃費の良いボクは、もっと何か出来るんじゃないか??と考えて、来年は…。


 大迫高校生だけで結成する、ぶどうの特殊部隊を組織します!!!(高校了解済)


 10代と共に、ぶどうを学んでいく。横並びになって、今まで以上にぶどうを学んでいきたい。

 先月、大迫高校1年生の皆の前で、こんな話をした。

「大迫高校生の若い力で、この町を活性化させたい!ボクだけでなく、大迫高校生皆とチームとなって、町を盛り上げていきたい。ボクもそのチームの一員として、来年もよろしくお願いします!!!」※詳細はまた、後日。

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 今、こんな世の中だけど、独立して思ったのは、まったく後悔していないこと。やっぱり独立して良かった!今が最高に楽しい!

 独立すれば、当たり前だけど、決断することが多く、毎日のように、何をするにも、決断するのは大変なことだけど、その判断が、生きることで大切なことだと思う。

一瞬の判断や選択が、生きることの喜びに繋がっている。

 また、来年もさらにパワーアップして、まだまだいきます!!!(裏付けのない自信)


 最後に、2021年嬉しかったぶどう収穫後の最大瞬間風速はこちら↓

 ボクの師匠(勝手に師匠と呼んでる)が、「シャインマスカット美味しかった!立派に出来たな!」が何よりうれしかった。一歩ずつ、前に進んでいこう。来年に繋がるぶどうが今年出来たので。


                               かんた

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