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コロナ禍の不安をやわらげてくれた素敵な音世界 「THE REAL TUESDAY WELD」

誰も読んでくれないかもしれませんが、The Real Tuesday Weldというバンド(バンドなのかな?)の音楽について書いてみます。

私がThe Real Tuesday Weldを知ったのはコロナ禍に観た映画『Nick & Norah's Infinite Playlist』(2008年)で使われていた “Last Words” でした。映画の終盤に流れた、なんともチャーミングな音楽に惹かれ、即座に調べたのです。あっという間にその音楽にたどり着ける現代には感謝しかありませんね。

 “Last Words” が収録されている『The London Book Of The Dead』(2007年)は、これまでロックを中心に音楽を聴いてきた私には全くの新しい世界でした。インストを挟みつつ、ジャズ(←ビッグバンド的なものも)やブルーグラス等の様々な要素を含んだエレクトロポップな曲がテンポよく展開され、劇音楽と言った方が良さそうなアルバムだったのです。

ザ・リアル・チューズデイ・ウェルドは、イギリスの国立大学「Royal College Of Art」を出ているStephen Coats(スティーブン・コーツ)によるバンドで、そのバンド名はアメリカの俳優チューズデイ・ウェルドから名付けられています。洋楽ファンにはマシュー・スウィートのアルバム『ガールフレンド』が馴染み深いかもしれません。

↑ チューズデイ・ウェルド

いきなり逸れましたが、ザ・リアル・チューズデイ・ウェルドは1999年結成ですからキャリアはもう20年以上にも関わらず、私は映画を観るまで全く知りませんでした。小説のサウンドトラックという位置づけのアルバムもいくつかあるようで、劇音楽的に感じるのは当然だったのかもしれませんが、私には本当に新鮮でした。知ってる人からすれば「何をいまさら」なんだと思いますが、ロック好きを自称して生きていると辿り着かなかったのです。

素敵で不思議で洒落た、私にとって新しいその音楽は、北海道から大阪へ引っ越して主夫になり、少し落ち着いた途端に新型コロナウイルス拡大/外出自粛となってしまった “おうち時間” を心安らぐものにしてくれました。色々と定まらないことが多く、先の見えない不安な時期でしたので、ザ・リアル・チューズデイ・ウェルドの音楽は大きな救いになりました。

すっかり気に入った私は他のアルバムも聴くようになり、ますますその音世界にハマっていきました。新しい音楽と巡り会える喜びを久しぶりに味わったという感じでしたし、改めてそれまでの自分の世界の狭さを実感しました。

『The London Book Of The Dead』の他にも『The Return Of The Clerkenwell Kid』や『The Clerkenwell Kid: Live At The End Of The World』(コーツはロンドンのクラーケンウェル在住だそうでして、クラーケンウェル・キッドという名をプロデューサーとしたりしています。エミネムのスリム・シェイディやビヨンセのサーシャ・フィアースみたいな感じ?)、2022年にリリースされた『Dreams』などは日常的によく聴く音楽になりました。なにぶん、主夫なので家事時間に聴く音楽が重要なのですが、とにかくぴったりなのです。

アニメーターとのPVも多く、その世界を表現する方法のひとつとしているようです。

 
昔は夜の娯楽といえば結局のところテレビ番組でしたが、おじさんになると楽しめるものが少なくなってきました。TVerやYou Tube、Netflixなどもあるわけですが、テレビを消してしまう夜もあります。そんな時には「あまりうるさくならない、洒落た音楽を聴きながらゆっくりお酒でも」となりますが、ザ・リアル・チューズデイ・ウェルドを選ぶことが増えました。

おじさんになってから、しかも自宅に居ながらにして新しい世界が広がったのはとても嬉しいことでした。


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