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エディ・ヴァン・ヘイレンの居ない世界

自分が洋楽に触れ始めた頃、ヴァン・ヘイレンは『5150』をリリースしたばかりでした。

最初はとにかくバンドとしてかっこいいという印象で、ギターがすごいとは思いつつも、その本当の凄さを知ったのはライブビデオの「Live Without A Net」を観た時でした。
 
中学生だった私はレンタル店でビデオを借りて、家のビデオデッキを取り外し、自転車のカゴにデッキを積んで友達の家へ行き、接続に苦労しながらもダビングして、家で繰り返し何度も観たのでした。

エディのギターソロにふっ飛ばされたのはもちろんのこと、バンドとしての演奏の凄さやサミーの歌のうまさはいま観ても震えます。本当に4人で「せーの!」と演ってスタジオ録音を超えるカッコよさ、まさしく最高のバンドでした。

そしてこれが初めて観たライブビデオだった私は、ほとんど手元を見る事なくステージを走り回りながら、飛び跳ねながらギターを弾いていたエディが標準になってしまい、のちに他のギタリストがあんなには動かないことを知ってより一層エディがとんでもないことに気がつくのです。いやもうほんとにすごかった。あんなにも楽しそうに笑顔でギターを弾いていたエディがもうこの世に居ないと思うと本当に残念です。

2000年に舌癌を公表してからも、デイヴとアルバムを出すなど音楽活動を続けてくれていましたが、最後の数年は目立った情報もなく、TOOLのライブを親子で観に行ったエディが「ステージを背景に自分の写真を撮って欲しい」と彼に気づかなかった客からお願いされた話を見たのが最後でした。

この事をInstagramに投稿した息子、ウルフィーへのコメントで「やっと人に気づかれなくなった事をお父さんはきっと喜んでいるよ」とあったのが印象的で、これまでなら「あなたと一緒に撮りたい」と言われることばかりだったであろうエディが、亡くなるまでの間は平穏に過ごせた事を願うばかりです。

デビッド・ボウイやプリンス、ジョージ・マイケル、トム・ペティ、レミー・キルミスター、パット・トーピーらが亡くなり、その度に寂しい気持ちになっていましたが、中学生の時から映像で観ていたエディが亡くなったダメージは大きいです。

70歳を超えて活躍しているミュージシャンが多い中、65歳というのは早すぎるというしかなく、残念でなりません。多くのミュージシャンが出した追悼コメントを見ると、その影響力の大きさを改めて知ることにもなってしまいました。

ただ、エディが居ない世界になってしまったとは言っても、残してくれた音楽はこれからも多くの人達に聴かれていくと思います。

楽曲クレジットにバンドメンバー全員の名前があるのもヴァン・ヘイレンの好きなところでしたので、もう一度サミー、マイケルと一緒に演って欲しかったけど、こんなにも素晴らしい音楽を残してくれているのですから、それ以上を望むのは贅沢なのかもしれません。

31年前の今日(6月17日)、『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』がリリースされたそうで、エディとヴァン・ヘイレンに纏わる諸々を思い出してしまいました。

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