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引きこもりを好きになった話を

わたしが好きになる人は9割無職です。

これ、なんでか分からないけど
働いてる人はつまらない。


会社を経営していたときに自分を元に戻してくれるためには、社会不適合者と呼ばれる人が必要だった。

コンサルに抜擢したのはネット上の友達で会ったこともなかった、西東京に住む引きこもりだった。
話すこと、声のトーンほんまにかっこよかった。

彼とはアートの話をよくして、2人で感動写真を撮って送りあった。お互いのセンスを評価し合った。
わたしは、こんな楽しいことはなくて
毎月、コンサル費として10万振り込んだ。彼の存在が生きる活力になった。

彼は、はじめて社会的に認めてくれて
本当にありがとうって泣いてくれた。わたしも泣いた。

もう彼の連絡先は分からないけど
一生忘れないくらい、今でも尊敬してる。繊細な天才。

社会には出てないけど
社会の外から社会をよく理解している人だった。

はじめて会った日すごく緊張したけど、どこで会ったのか思い出せない。 わたしは、新幹線に乗って彼に会いに行った。

彼は、何年も家から出たことがないのに、意を決っしてわたしのために家を出てくれた。電車も頑張って乗ってくれた。

約束の時間を大幅に遅刻したけど
彼が家を出たことが、わたしは泣けるほど嬉しかった。

お互い緊張し過ぎて、どうしていいか分からず
無言のまま覚えてないけど移動して

聖蹟桜ヶ丘の駅から坂道を歩いて公園で2人でお酒を飲んだ。
お互い、誰なのかよく知らないまま。

『聖蹟桜ヶ丘』という名前がいいよね!って理由で。

彼は、母親が難病になって、そのまま外に出れてない。
彼はわたしにもっと絵を描いて欲しいってゴンドラのパステルをプレゼントしてくれた。

わたしは、それも泣けるくらい嬉しくて
この人の出会いを、どうしても忘れたくなくて
初対面なのに、体に一生残る傷を残して欲しいとお願いをした。

あの、、、わたしにピアスを開けてもらえませんか。

え、マジ?って目をむいた。

わたしはピアス開けてなかったのでノーマル耳です。

ただでさえ、外に出ない彼には重荷過ぎたかもしれないけど、
彼は分かった!と言ってくれて

ずっと、ウロウロして
2人でピアスを開けるための道具を買って

彼が行ける数少ないお店で、ネイティブアメリカンのアクセサリー屋さんに行って
好きなのを選んで2時間くらい、お互いガチガチ震えながら

店長と話をしてスパスパ煙草を吸って気を紛らわせて、落ち着かせて

ようやく決意をして、わたしの右の耳に穴を開けるという儀式をしてくれた。

手もつないだこともなければ、どんな食べ物が好きなのかもしらない。どこの誰かも知らない。

何もかもすっ飛ばして、ぜんぶ委ねた。
わたしは基本的に人に心を開かない。

なのに、ここまで
あなたの存在をわたしの一部にしたいと思ったことは後にも先にもない。


その後、色んなことがあってもう彼とは連絡が取れないけど
ただ、一緒に過ごすことだけがすべてではない。

2回目の結婚で
そのピアスは塞いで欲しいと言われて抵抗していたけど
塞ぐことにしました。(もう、8年たつけど)

今でも右の耳は、しこりが残ってて
たまに膿が出る。

わたしは、死ぬまでこの傷を残しておきたい。
どうしても残したかった思い出。

どうしてるのかな。 
会いたいなーとたまに思う。


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