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養生訓 巻第八 灸 鳳凰堂流解釈⑱


原文を現代文に改変

衰老の人は下部に氣すくなく、根本よわくして氣升りやすし。

多く灸すれば、氣上りて、下部彌空虚になり、腰脚よわし。おそるべし。多く灸すべからず。

殊に上部と脚に多く灸すべからず。中部に灸すとも、小にして一日に只一穴、或は二穴、一穴に十壮ばかり灸すべし。

毎日灸して、壮數をかさねて、數十壮にいたるべし。一時に多く灸すべからず。

一たび氣のぼりては、老人は下部のひかえよわくしてくせになり、氣升る事やみがたし。老人にも灸にいたまざる人あり。一概に定めがたし。但しかねて用心すべし。

鳳凰堂流意訳

衰えた人、老いた人は身体の下部に氣がすくなく、根本がよわい為氣が升りやすい。多く灸すれば、氣が更に上りて、下部が空虚になり、腰脚よわくなるので、念頭に置いておく必要がある。多く灸してはいけない。

特に上部と脚には多く灸してはいけない。中部に灸する場合も小さいものを一日にただ一穴、或いは二穴、一穴に十壮くらい灸すること。毎日灸して、壮数をかさねて、数十壮までする。一時に多く灸してはいけない。

一度気がのぼると、老人は下部の気の蓄積がよわい為、くせになり、氣が昇り続け止まらなくなる。老人でも灸で悪くならない人もいるので、一概には定めがたい。但しこの事を考えて用心する事は大切である。

鳳凰堂流解釈

前項でも記したが、毎日一壮であれば触ってあげる方が意識と身体と心がそこに注力しやすく、いつでもどこでもできる。

但し、多くすべきではないと言うところに貝原益軒の真面目な人柄が現れているように思う。

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